あなたも同じように考えていませんか?
頭金の一般的な目安は物件価格の「10%~20%」と言われていますが、実際のところはどれくらいの頭金を準備すべきなのでしょうか?
そこでこの記事では、不動産・住宅業界18年のプロが『2000万の家の頭金いくら払った?187人アンケート+体験談付』と題して徹底解説します。
- 西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)
-
不動産×住宅業界18年。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。ブログ116万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
187人にアンケート!
約2000万の家の頭金いくら払った?
過去に約2000万円の家の購入を経験した187名の方々に、「頭金はいくら払いましたか?」という質問を通じてアンケートを行いました。
アンケート結果は
下記の通りじゃ!
※ここでの約2000万の家は「1780~2280万円」
※諸費用で支払った分の頭金も含む
※親族等からの援助金があった場合はその分を除く
「頭金なし」が最も多い結果に
約2000万の家の購入にあたり「頭金なし」の回答が39人と、最も多い結果となりました。
全体の約21%に該当する数じゃ!
この結果は、単純に貯金不足もありますが、その一方で「現金を手元に残しておく」という計画の上で選択した背景もうかがえます。
また、今は住宅ローンの低金利時代です。
2000万円程度の借入であれば、それほど大きな負担にはならないと考え、より早くマイホームを手に入れることを優先し、「頭金なし」で進めた人も多いでしょう。
※ただし、諸費用分のローンは一般的に金利が高くなる、かつ審査が厳しくなるため、最低でも諸費用分以上の頭金の準備がベターです。
頭金なしを除けば
「201~600万円」の範囲が多い
頭金なしを除けば、全体的に「201~600万円」の範囲で頭金を支払う人が多いようです。
住宅市場において、約2000万の家は比較的低価格帯に位置付けられていますが、冷静に考えれば大きな買い物です。
今後、収入低下や支出増加の可能性、あるいは予期せぬ転職など、将来の未確定要素に対応するために、しっかり資金計画を立てた背景がうかがえます。
2000万円を甘く見て、
返済額に悩みたくないですね
また、一定の額の頭金は、返済能力や資産形成の意識が高いとみなされ、住宅ローンの審査結果にプラスに働きます。
それに、頭金が物件価格の20%以上あれば、ローンの金利を優遇してくれる金融機関もあるので、そこを狙った人も多いでしょう。(例:2000万円×20%=400万円)
【頭金の金額別】
2000万の家を買う時の返済シミュレーション
家を買う際、「頭金」の額は毎月の住宅ローンの返済額に大きく影響を与えます。
どれだけの頭金を支払うべきか、ピンと来ない人は、毎月のローン返済額を基準に設定すると良いかもしれません。
まず、家の購入時には物件価格の「6~8%」の諸費用が別途必要になります。
もし仮に、「140万円(7%)」の諸費用が必要だった場合、頭金を除いた「住宅ローンの借入額」は下記のようになります。(計算式:購入価格-諸費用=住宅ローン借入額)
頭金なし | 頭金100万円 | 頭金200万円 | 頭金300万円 | 頭金400万円 | 頭金500万円 | 頭金600万円 | 頭金700万円 | 頭金800万円 | 頭金900万円 | 頭金1000万円 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
購入価格 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 |
諸費用 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 |
住宅ローン借入額 | 2140万円 | 2040万円 | 1940万円 | 1840万円 | 1740万円 | 1640万円 | 1540万円 | 1440万円 | 1340万円 | 1240万円 | 1140万円 |
次に、これらの住宅ローンの借入額について、以下の条件でシミュレーションをしてみました。
- 返済期間:35年
- ボーナス:なし
- 返済方法:元利均等返済
- 参考金利:変動0.475%/10年固定0.94%/35年固定1.81%
頭金なし | 頭金100万円 | 頭金200万円 | 頭金300万円 | 頭金400万円 | 頭金500万円 | 頭金600万円 | 頭金700万円 | 頭金800万円 | 頭金900万円 | 頭金1000万円 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
住宅ローン借入額 | 2140万円 | 2040万円 | 1940万円 | 1840万円 | 1740万円 | 1640万円 | 1540万円 | 1440万円 | 1340万円 | 1240万円 | 1140万円 |
変動0.475% | 5万5315円 | 5万2730円 | 5万0145円 | 4万7560円 | 4万4975円 | 4万2391円 | 3万9806円 | 3万7221円 | 3万4636円 | 3万2051円 | 2万9466円 |
10年固定0.94% | 5万9812円 | 5万7017円 | 5万4222円 | 5万1427円 | 4万8632円 | 4万5837円 | 4万3042円 | 4万0247円 | 3万7452円 | 3万4657円 | 3万1862円 |
35年固定1.81% | 6万8821円 | 6万5605円 | 6万2389円 | 5万9173円 | 5万5957円 | 5万2741円 | 4万9525円 | 4万6309円 | 4万3093円 | 3万9877円 | 3万6661円 |
※参考金利は2023年9月1日時点でおおよそ借入可能な金利です。また、実際の適用金利は審査により決定します。
※諸費用分のローンは一般的に金利が高くなりますが、計算簡略のため同金利としています。
※各返済金額は概算のため幾分前後します。
頭金が100万円変わるだけで
毎月2500~3200円違うんだ!
金利の違いで大きく変わる点も
見逃してはいかんぞ!
そこで例えば、アンケートで最も多かった「頭金なし」の返済額と、次に多かった範囲の「頭金500万円」の返済額を比べてみると、
頭金なし | 頭金500万円 | (差額) | |
---|---|---|---|
住宅ローン借入額 | 2140万円 | 1640万円 | -500万円 |
変動0.475% | 5万5315円 | 4万2391円 | -1万2924円 |
10年固定0.94% | 5万9812円 | 4万5837円 | -1万3975円 |
35年固定1.81% | 6万8821円 | 5万2741円 | -1万6080円 |
毎月1万円強も変わると、
やはり払う価値はありますね
以上、2000万の家を買う時の返済シミュレーションをまとめてみました。
くれぐれも、個々に収入支出の状況は異なります。
住宅ローンの返済額だけにとらわれることなく、家の購入後の生活費全体をイメージしながら、あなたにとって無理のない頭金を計画して下さい。
2000万の家の購入時に
頭金の額を検討する際のコツ[4つ]
2000万の家の購入時に頭金の額を検討する際のコツは以下の4つです。
コツ①
諸費用も合わせて計算する
『諸費用も合わせて計算する』は、2000万の家の購入時に頭金の額を検討する際のコツです。
一般的に家の購入では「6~8%」の諸費用が発生し、2000万円の家を購入する場合「120~160万円」の多額に相当するからです。
諸費用には、不動産会社への仲介手数料・登記費用・銀行の手数料と保証料・火災保険料・売買契約書に貼る印紙代等が含まれ、これらは買主が全て負担します。
その他にも、引越し費用や家具家電製品の購入費用なども見越しておく必要があります。
支払い計画で失敗しないためにも、これらの諸費用も計算に入れて、2000万円の家の購入のための頭金を決定しましょう。
早い段階で、不動産会社に諸費用の
見積もりを依頼した方がよさそうですね
コツ②
他の借入があれば先に完済も考える
『他の借入があれば先に完済も考える』は、2000万の家の購入時に頭金の額を検討する際のコツです。
自動車やクレジットカードのローンといった、通常は住宅ローンよりも利息が高い借入が残っている場合、その借入を最初に完済することで、全体の支払いを削減できるからです。
自動車ローンの金利は4~8%、
住宅ローン金利は1%前後じゃからの~
金利の違いから、予定の頭金を少なくしてでも自動車ローンを完済する方が、全体としての支払いは少なくなる場合が多いです。
具体的には、2000万円の家を購入する際に、頭金を300万円・自動車ローン80万円がある状況なら、自動車ローンを先に完済し、頭金を220万円にする方が賢いと思います。
また、他の借入がない方が、
住宅ローン審査は通過しやすいぞ!
なるほど、事前に完済する方が
良い選択になりそうですね!
他の借入がある場合は、最初に完済することも検討し、その上で最終的に必要な頭金を計算しましょう。
コツ③
貯金は一部残しておく
『貯金は一部残しておく』は、2000万の家の購入時に頭金の額を検討する際のコツです。
頭金が多いほど、住宅ローンの返済は確かに軽減されますが、その代わりに予想外の大きな支出に対処できないからです。
新居で安心した生活を送るために
お金の悩みはなくしたいものじゃ
2000万円の家を購入することが多い20代後半~30代前半の層は、家族が増える時期にあり、将来の子供の教育費などが予想しづらい年代です。
常に、余裕をもった
貯金が必要になるじゃろう
家を購入した後でも、経済的に安心して生活を続けるために、貯金は一部残す前提で資金計画を立て、頭金を決定しましょう。
コツ④
周辺の価格相場を把握する
『周辺の価格相場を把握する』は、2000万の家の購入時に頭金の額を検討する際のコツです。
不要な頭金の支払いを避けるためじゃ!
家の価格は、売主がある程度まで自由に決められるため、検討する家が周辺相場よりも高いことが多々あります。
例えば、通常なら1950万円で取引されるはずの家が2150万円で出ているなど、200万円程度の差額は普通にあります。
それは困ります…
このような状況で、周辺の価格相場を理解していれば、交渉を行いつつ購入を検討することが可能です。
ただ一方で、もし相場を知らなければ、何も意識せずに追加の頭金を準備して購入することになりかねません。
不要な頭金の支払いを避けるためにも、周辺の物件価格を注意深く比較し、相場を把握した上で、適切な頭金を計画しましょう。
以上、2000万の家の購入時に頭金の額を検討する際のコツを紹介しました。
【体験談】頭金や返済額は?
約2000万の家の支払い経験者に聞いた
過去に約2000万の家の購入経験のある人へ、頭金や住宅ローン返済額について「体験談」を集めてみました。
※ここでの約2000万の家は「1780~2280万円」とします。
- 家の購入価格はいくら?
- 1970万円
- 準備した「頭金」はいくら?
- 600万円
- 住宅ローンの「毎月返済額」はいくら?
- 4万5000円
- 体験談
- 頭金だけは実家が補助してくれたおかげで、毎月の返済をある程度抑えられていて助かっています。
ボーナス払いを必要とせず、毎月無理のない返済で、今の家計を何とか続けられています。
会社の業績によりボーナスが変化しているので、もしボーナス払いに頼っていたら、家計は回らなかったと思います。
- 家の購入価格はいくら?
- 1900万円
- 準備した「頭金」はいくら?
- 10万円
- 住宅ローンの「毎月返済額」はいくら?
- 7万8000円
- 体験談
- 頭金は必要最低限の手付金しか入れませんでした。
貯金があればもう少し入れたかったのですが、なかなか難しく、住宅ローンがやや高くなってしまいました。
ただ、親世代が購入した時代と比べて、今は頭金をがっつり支払う必要がないことを知ったときは安心をしました。
やはり、手元にお金を残しておくかどうかで、心の余裕が違うように思うからです。
- 家の購入価格はいくら?
- 2200万円
- 準備した「頭金」はいくら?
- 800万円
- 住宅ローンの「毎月返済額」はいくら?
- 4万4000円
- 体験談
- 頭金をまとまった額で支払ったため、ローンの支払いがそれほど厳しくなく助かっています。
もし頭金が少なかったら、毎月の返済に追われていたと思います。
決して安くはない金額でしたが、ちょっと無理をしてでも頭金を準備して良かったと、今振り返ってみればそう感じます。
- 家の購入価格はいくら?
- 2200万円
- 準備した「頭金」はいくら?
- 800万円
- 住宅ローンの「毎月返済額」はいくら?
- 4万9000円
- 体験談
- 頭金は貯金の一部で払えて無理がなかったし、毎月のローンも5万円をきっていて、賃貸以下で手頃な支払いを続けています。
当初、頭金をもっとたくさん入れて、毎月のローン額をさらに少なくするか、完済のタイミングを早めることも考えました。
ただ、現状は返済に困ることがないので、頭金は最初に決めた500万円で良かったと思いました。
- 家の購入価格はいくら?
- 2200万円
- 準備した「頭金」はいくら?
- 頭金なし
- 住宅ローンの「毎月返済額」はいくら?
- 7万8000円
- 体験談
- 頭金なしで住宅ローンを組んだのですが、毎月の返済に追われる日々を送っています。
やはり、少しでも頭金を用意してから購入したら良かったと後悔しています。
家にかかるお金は、住宅ローンだけではなく、外壁塗装やオール電化にしたリフォームローン、毎年支払う固定資産税などもあります。
だから、頭金を少しでも入れておいて、毎月の返済額を抑えるべきだったと、今は感じています。
- 家の購入価格はいくら?
- 1890万円
- 準備した「頭金」はいくら?
- 400万円
- 住宅ローンの「毎月返済額」はいくら?
- 5万1000円
- 体験談
- 金額を抑えるために中古物件にしたが、修理費用や外壁塗装が必要だったので、頭金を入れてもローンの支払いが大変。
中古物件は初期費用が抑えられても、将来やってくる修理が新築よりも早まるので、思ったよりも負担が大きく感じる。
もともとは、あと100万円を頭金に入れる予定だったが、もしものことを考えて貯金に回した。
金利を考えると後悔している。
まとめ
今回の不動産とーくは『2000万の家の頭金いくら払った?187人アンケート+体験談付』と題して、下記の項目を解説しました。
参考にしてもらえたかの~?
2000万の家の購入にあたり「頭金」の考え方は人それぞれです。
頭金はあくまで購入代金の一部であり、住宅ローン返済という本番に備えて、無理のない範囲内で計画することが重要です。
今回のアンケート結果やシミュレーション、体験談を参考にしながら、あなた自身の事情に最も適した答えを見つけてください。
以上『2000万の家の頭金いくら払った?187人アンケート+体験談付』でした。