マンションの実家じまいで必要な6つのポイント&体験談も紹介

「マンションの実家じまい、どうすればいい?」
「一戸建てと違って注意点があるのかな?」

親から相続したマンションの処分に悩んでいる方は、実は非常に多くいらっしゃいます。

長年住み慣れた実家への愛着がある一方で、遠方に住んでいると定期的な管理も困難で、毎月の維持費も家計を圧迫してしまいます。

マンションの実家じまいで多くの方が戸惑うのが、一戸建てとは違う複雑な手続きの数々です。

管理組合の存在や修繕積立金の仕組み、近隣住民との関係性など、マンション特有の事情を理解せずに進めてしまうと、思わぬところで足を引っ張られることになります。

そこでこの記事では、不動産×住宅業界のプロが『マンションの実家じまいで必要な6つのポイント&体験談も紹介』と題して徹底解説します。

最後まで読めば、マンション特有の手続きを理解し、スムーズかつ満足のいく実家じまいを実現できるようになるでしょう。

この記事を執筆した専門家
西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)
西田 喜宣|クラウドハーツ・リアルエステート代表
不動産×住宅業界18年。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。ブログ116万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
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マンションの実家じまいで必要な6つのポイント


マンションの実家じまいは、一戸建てとは異なる特有の手続きや注意点があります。

管理組合への報告や修繕積立金の扱いなど、マンション特有の手続きを見落とすと後々トラブルにつながる可能性があります。

実家じまいで必要なポイント

  1. 管理費・修繕積立金の支払い状況を確認する
  2. 管理組合と管理会社への報告を行う
  3. 売却前に修繕が必要かどうか判断する
  4. 駐車場・倉庫などの付帯契約を解約する
  5. 上下左右の住民へ挨拶まわりを行う
  6. マンション売却が得意な複数社を比較する
リョウヘイ

マンション特有の手続きが
たくさんあるんですね

1.管理費・修繕積立金の支払い状況を確認する

まず最初に確認すべきなのが、管理費・修繕積立金の支払い状況です。

滞納があると、マンション売却が困難になったり、売却価格が大幅に下がる可能性があります。

マンションを相続した場合、滞納分も一緒に引き継ぐことになります。

レオ教授

滞納があったら
まず支払いじゃな!

国土交通省の調査によると、管理費・修繕積立金を3カ月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%にも達しています。

滞納が続くと、最悪の場合は競売にかけられる可能性もあるため、実家じまいを始める前に必ず支払い状況を確認しましょう。

  • 管理会社から未納通知書を取り寄せる
  • 滞納がある場合は一括返済を検討する
  • 返済が困難な場合は管理組合に相談する
  • 売却時の精算方法を事前に確認する
カエデ

滞納があっても
売却はできるんですか?

滞納があっても売却は可能ですが、売却価格から滞納分を差し引かれることが一般的です。

また、購入希望者から敬遠される傾向があるため、できるだけ滞納を解消してから売却活動を始めることをおすすめします。

2.管理組合と管理会社への報告を行う

実家じまいでマンションを売却する際は、管理組合と管理会社への適切な報告が必要です。

売却が決まったら「組合員資格喪失届」を提出し、管理組合から正式に脱退する手続きを行います。

  • 売却活動開始時に事前連絡を入れる
  • 決済後すぐに組合員資格喪失届を提出する
  • 管理費・修繕積立金の日割り精算を行う
  • 管理組合の理事役員の場合は早めに報告する

連絡を忘れると、売却後も管理費が引き落とされ続ける可能性があります。

レオ教授

手続きを忘れると
後で大変なことになるぞ!

組合員資格喪失届は、基本的に不動産会社が管理組合から取得してくれますが、自分で管理組合に問い合わせて早めに入手することも可能です。

書類の取得に費用はかからないため、売却が決まったら早めに準備しておきましょう。

3.売却前に修繕が必要かどうか判断する

マンション売却前に、室内の修繕が必要かどうかを慎重に判断することが重要です。

修繕の必要性は、マンションの築年数や室内の状態、予算などを総合的に考慮して決めるべきです。

修繕箇所修繕したほうが良いケース修繕不要なケース
壁紙・床材破れや大きな汚れが目立つ場合軽微な汚れや自然な劣化の場合
水回り設備水漏れや故障がある場合古いが正常に機能している場合
建具・扉開閉に支障がある場合軽微な傷のみの場合
エアコン故障している場合古いが動作する場合
リョウヘイ

修繕費用と売却価格の
バランスが大切ですね

特に築年数が古いマンションの場合、大規模な修繕をしても売却価格に見合わないことがあります。

複数の不動産会社に相談し、修繕の必要性について専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。

4.駐車場・倉庫などの付帯契約を解約する

マンションには駐車場や倉庫、バイク置き場などの付帯契約がセットになっていることが多くあります。

これらの契約は居住用の契約とは別途解約手続きが必要になるため、忘れずに対応しましょう。

  • 駐車場使用契約の解約申請を行う
  • 倉庫・トランクルームの荷物を整理する
  • バイク置き場・自転車置き場を解約する
  • インターネット回線の解約手続きを行う

駐車場の解約については、一般的に1カ月前までの通知が必要です。

カエデ

付帯契約って
意外と見落としがちですね

解約手続きを忘れると、売却後も料金が請求され続ける可能性があります。

管理会社に連絡して、現在契約している付帯サービスの一覧を確認し、すべて解約手続きを行いましょう。

レオ教授

契約書を見直して
漏れがないかチェックじゃ!

5.上下左右の住民へ挨拶まわりを行う

マンションの実家じまいでは、近隣住民への挨拶まわりも大切なマナーの一つです。

特に長年住んでいた場合は、お世話になった感謝の気持ちを伝えることで、円満に実家じまいを進められます。

売却活動中は内覧者の出入りも増えるため、事前に挨拶しておくことで理解を得やすくなります。

  • 直接隣接する上下左右の住戸を訪問する
  • 売却予定であることを簡潔に伝える
  • 内覧等でご迷惑をおかけする旨を伝える
  • お礼の品を持参する(1,000円程度)
リョウヘイ

長年の感謝を
込めて挨拶したいですね

挨拶の際は、売却理由を詳しく説明する必要はありません

「親が住んでいましたが、この度売却することになりました」程度の簡潔な説明で十分です。

在宅でない場合は、挨拶状をポストに入れておくという方法もあります。

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6.マンション売却が得意な複数社を比較する

実家じまいを成功させるには、マンション売却が得意な不動産会社選びが最も重要になります。

マンション特有の事情に精通した複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することが大切です。

比較ポイント確認すべき内容
マンション売却実績同じエリアでの成約実績・平均売却期間
査定価格の根拠類似物件との比較・市場動向の分析
売却戦略広告方法・販売期間・価格設定の提案
手数料・費用仲介手数料・その他の諸費用
担当者の対応専門知識・連絡の取りやすさ・信頼性

複数社に査定を依頼することで、適正な売却価格を把握できるだけでなく、各社の対応力も比較できます。

カエデ

1社だけだと
比較できませんもんね

マンション売却では、近隣の成約事例や市場動向を正確に把握している不動産会社を選ぶことが重要です。

実家じまいという特殊な事情についても理解があり、適切なアドバイスをしてくれる会社を選びましょう。

レオ教授

信頼できる会社選びが
成功の鍵じゃな!


以上、マンションの実家じまいで必要な6つのポイントについて解説しました。

一戸建てとは異なるマンション特有の手続きを確実に行うことで、スムーズな実家じまいを実現できるでしょう。

[体験談]マンションの実家じまいをした人の声


マンションの実家じまいでは、管理組合の手続きや修繕積立金の問題、エレベーターでの搬出作業など、予想以上に複雑で時間のかかる作業となることが多いものです。

ここでは、実際にマンションの実家じまいを経験された方々に、その苦労や期間、これから同じ道を歩む方へのアドバイスをお聞きしました。


中村 千佳さん(48歳・大阪府)

マンションならではの苦労はあった?
管理組合への名義変更手続きが思った以上に煩雑でした。
理事会の承認が必要で、必要書類も多く時間がかかりました。
また、修繕積立金の滞納分が発覚し、売却前に清算する必要がありました。
一戸建てと違って共用部分の管理規約を理解するのも大変で、不動産業者さんに何度も相談しました。
実家じまいにかかった期間は?
片付けから売却完了まで約8ヶ月かかりました。
マンションは立地が良かったので買い手は見つかりやすかったのですが、管理組合の手続きや書類準備に予想以上の時間を取られました。
特に両親の遺品整理は感情的にも辛く、週末だけの作業では進みませんでした。
マンションの実家じまいを検討中の人へひと言
管理組合の規約や修繕積立金の状況を早めに確認することをお勧めします。
専門家に相談しながら進めることで、無駄な時間を省けます。
感情的になりがちですが、計画的に進めれば必ず乗り越えられます。

松本 龍一さん(55歳・福岡県)

マンションならではの苦労はあった?
エレベーターでの荷物搬出が一番大変でした。
大型家具は階段では運べず、時間を区切って搬出作業を行う必要がありました。
近隣住民への挨拶回りも気を遣いましたね。
管理費の自動引き落としを止め忘れて、売却後も数ヶ月間請求が続いてしまいました。
実家じまいにかかった期間は?
約1年2ヶ月という長期間になってしまいました。
兄弟間で売却時期について意見が分かれ、話し合いに時間がかかったのが原因です。
最終的に不動産鑑定士に依頼して適正価格を出してもらい、納得のいく形で売却できました。
もっと早く専門家に相談すればよかったと反省しています。
マンションの実家じまいを検討中の人へひと言
家族間でしっかり話し合いの場を持つことが重要だと感じました。
感情論ではなく、客観的な資料を基に判断することが大切です。
時間はかかりましたが、最後は家族全員が納得できる結果になりました。

小林 真弓さん(41歳・宮城県)

マンションならではの苦労はあった?
築年数が古く、給排水管の老朽化問題が発覚しました。
売却前に修繕が必要になり、予想外の出費となりました。
また、ペット飼育可のマンションだったため、におい対策にも苦労しました。
管理組合の議事録を確認すると、大規模修繕の計画もあり、売却タイミングに影響しました。
実家じまいにかかった期間は?
片付けに3ヶ月、売却に5ヶ月で合計8ヶ月でした。
母が集めていた食器類が膨大で、処分方法に悩みました。
リサイクルショップやフリマアプリを活用して、少しでも処分費用を抑えることができました。
思い出の品は写真に撮って保存し、心の整理もつけられました。
マンションの実家じまいを検討中の人へひと言
建物の状況をしっかり把握してから売却活動を始めることをお勧めします。
予想外の修繕費用が発生する可能性もあるので、余裕を持った資金計画が必要です。
辛い作業ですが、一つずつ丁寧に進めれば必ず終わりが見えてきます。

伊藤 浩司さん(39歳・愛知県)

マンションならではの苦労はあった?
駐車場の解約手続きが複雑でした。
管理会社と駐車場会社が別々で、それぞれに手続きが必要でした。
解約のタイミングを間違えて、1ヶ月分余計に料金を払うことになりました。
また、バルコニーの物置やエアコン室外機の撤去も自分で手配する必要がありました。
実家じまいにかかった期間は?
約6ヶ月で完了しました。
父が几帳面だったおかげで、重要書類がきちんと整理されていたのが救いでした。
平日は仕事があるため、土日に集中して作業を進めました。
妻も手伝ってくれたおかげで、思ったよりスムーズに進められました。
マンションの実家じまいを検討中の人へひと言
一人で抱え込まずに、家族や信頼できる人に協力してもらうことが大切です。
作業を分担することで、精神的な負担も軽減できます。
両親への感謝の気持ちを持ちながら、前向きに取り組んでください。

渡辺 美奈子さん(44歳・静岡県)

マンションならではの苦労はあった?
隣人との関係に気を遣いました。
長年住んでいた母がお世話になっていたので、きちんと挨拶をしたかったのですが、皆さんお忙しく、なかなかタイミングが合いませんでした。
管理組合の総会で承認が必要な手続きもあり、売却スケジュールに影響が出ました。
実家じまいにかかった期間は?
10ヶ月という長期間になりました。
母の介護用品や医療器具の処分方法がわからず、市役所や医療機関に相談しながら進めました。
地域の福祉団体に寄付できるものもあり、少しでも役に立てて良かったです。
売却は思ったより早く決まったので、片付けにもっと時間をかけるべきでした。
マンションの実家じまいを検討中の人へひと言
処分に困るものは早めに相談先を見つけておくことをお勧めします。
市役所や福祉団体など、意外と相談できる場所があります。
母の思い出を大切にしながら、新しいスタートを切ることができました。

※プライバシー保護のため仮名です。

以上、マンションの実家じまいをした人の体験談を紹介しました。

まとめ:マンションの実家じまいは計画的に進めよう


今回の不動産とーくは『マンションの実家じまいで必要な6つのポイント&体験談』と題して、下記の項目を解説しました。

この記事で解説したこと

  1. マンションの実家じまいで必要な6つのポイント
  2. [体験談]マンションの実家じまいをした人の声