実家じまい+売却は何から始める?7人の体験談と失敗しない7つの手順
「誰も住まない実家をどうしよう…」
「実家じまいって何から手をつければいいの?」
「実家のこと…きょうだいでもめたくないな」

親が施設に入った、あるいは亡くなった。そのとき突然、実家という大きな存在が肩にのしかかってきます。

同じ気持ちを抱えたまま、何年も動けずにいる方は決して少なくありません。

実家じまいや実家売却がやっかいなのは、やること自体は聞いたことがあるのに、自分の家の場合はどこからなのかが誰も教えてくれない点です。

しかも、待ってくれない手続きもいくつか含まれます。

気づかないうちに期限が過ぎ、選べる方法が減ってしまうケースは実際にあります。

この記事では、不動産×住宅業界のプロが『実家じまい+売却は何から始める?8人の体験談と失敗しない7つの手順』と題して解説します。

読み終える頃には、あなたの家庭が今どの段階にいて、次に何をすればいいのかがはっきり見えてくるはずです。

家族との関係も、お金も、どちらも大切にしながら実家を手放す道を一緒に探していきましょう。

この記事の執筆者
西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)
西田 喜宣|クラウドハーツ・リアルエステート代表
不動産×住宅業界20年以上。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。運営メディアは累計120万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
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なぜ実家売却・実家じまいは「何から始める?」で止まりやすいのか


実家じまいや実家売却が止まりやすい理由の1つは、やるべきことが同時に押し寄せるうえに、進める順番が家庭ごとに違うからです。

相続、名義、家財、家族の合意…どれも簡単には片付けられません。

まずは、多くの方がつまずきやすい4つの原因から整理していきましょう。

実家じまいが止まる主な理由

  1. 相続の手続きが必要だと売却までに時間がかかるから
  2. 家財の量が多くて片付けのゴールが見えないから
  3. 家族それぞれに思い入れがあって話し合いが進まないから
  4. 空き家のまま置いていても、すぐには困らないから

1.相続の手続きが必要だと売却までに時間がかかるから

親が亡くなった実家を売却する場合は、原則として売却前に相続登記を済ませる必要があります。

相続した不動産を売却するには、相続によって所有権を取得した人を登記に反映させる必要があるからです。

たとえば、実家を相続する可能性のある人が3人いる場合、遺言書の有無などを確認し、必要に応じて誰が実家を引き継ぐのか話し合ったうえで、その結果に沿って相続登記を進めます。

相続人同士の話し合いがまとまらなければ、その分だけ売却を始める時期も遅れやすくなります。

プロ20年プロ20年

2024年4月から相続登記は
義務化されているので
先延ばしは避けたいところです

私がこれまで受けてきた相談でも、売ろうと動き出してから名義が祖父のままだと判明したケースは珍しくありませんでした。

自分の実家がどの状態にあてはまるのかで、必要な手続きは変わってきます。

実家の名義の状態 売却前に確認・対応したいこと
親が存命で親本人が売る 親本人の売却意思や判断能力を確認する
亡くなった親の名義のまま 遺言書などを確認し、必要に応じて遺産分割を行ったうえで相続登記する
祖父母など前々代の名義のまま 相続関係をさかのぼって相続人を確認し、必要な相続手続きを進める
きょうだいの共有名義 実家全体を売却する場合は共有者全員の合意を得る
※遺言の有無や相続関係などにより、必要な手続きは異なります。

まずは登記事項証明書などで現在の登記名義を確かめるところから始めると、次に必要な手続きを整理しやすくなります。

2.家財の量が多くて片付けのゴールが見えないから

実家じまいの手が止まるもう1つの原因が、想像をはるかに超える家財の量です。

長年暮らした家には、押し入れや物置などに多くの家財が残っていることがあります。

週末に少しずつ運び出しても、見た目がほとんど変わらない…そんな徒労感が、足を重くします。

ケイスケ

実家に帰るたびに片付けても
全然終わる気がしなくて
心が折れそうです

さらに、家財には持ち主や家族の思い出が詰まっています。

アルバム、手紙、着物、仏壇。

捨てる決断そのものに気力を使うので、作業がなかなか進まないこともあります。

プロ20年プロ20年

まずは家全体ではなく
1部屋・1押し入れ単位で
区切ると進みやすいですよ

実家が遠方にあれば、片付けに向かう移動時間や交通費も負担になります。

「いつまでに、どこまで片付けるか」を先に決めることが、終わりの見えない作業から抜け出すきっかけになります。

3.家族それぞれに思い入れがあって話し合いが進まないから

実家は資産であると同時に、家族全員の記憶が詰まった場所です。

だからこそ、売る・残すの判断で意見が割れることがあります。

私の経験上、実家じまいが長期化するケースでは、手続きだけでなく家族間の温度差が影響していることも少なくありません。

たとえば、実家の近くに住む長男は草刈りや郵便物の確認といった管理の負担を実感していて、早く手放したいと考える。

一方、遠方に住む次男は年に数回帰るだけなので「もう少し残しておきたい」と感じる。

どちらも間違いではないぶん、結論が出ないまま時間だけが過ぎることがあります。

マチ

きょうだいでもめたくないから
言い出せないまま
何年も経っちゃう気がします

そこでおすすめしたいのが、感情の話と現実の話を分けて進める方法です。

  • 各自の希望を先に出し合う(後から不満が出るのを防ぐため)
  • 維持にかかる税金や手間を共有する(判断の土台をそろえるため)
  • 窓口役を1人決めておく(会社や役所とのやり取りが滞らないため)
プロ20年プロ20年

全員が納得する結論より
全員が説明を受けた状態を
先に作るのがコツです

思い入れを否定せず、事実を並べて話し合う。

この順番を意識するだけでも、話し合いを進めやすくなります。

4.空き家のまま置いていても、すぐには困らないから

実家じまいが後回しになりやすい理由として、空き家にしても当面の生活には大きな支障が出にくい点は見逃せません。

住まいは別にあり、日々の暮らしは変わらない。

だから「落ち着いたら考えよう」と先送りしてしまうわけです。

ただ、実家を空き家のまま所有している間も、維持や管理に費用がかかります。

固定資産税のほか、契約を継続していれば火災保険料や電気・水道などの料金がかかり、庭木の手入れや草刈り、建物の補修が必要になることもあります。

費用は建物の状態や契約内容、管理方法などによって大きく異なるため、実際にいくらかかっているのか一度整理しておくことが大切です。

マチ

何もしていないのに
お金がかかり続けるなんて
考えていませんでした

加えて、適切に管理されていない空き家は、建物の傷みが進むおそれがあります。

換気がされない状態が続けば湿気やカビの原因になりやすく、屋根や外壁などの破損を放置すれば状態がさらに悪化する可能性もあります。

雨漏りなどの不具合に気づくのが遅れれば、修繕が必要になる範囲が広がったり、売却時に建物の状態が問題になったりすることもあります。

プロ20年プロ20年

建物の状態が悪化すると
売却や活用の選択肢にも
影響することがあります

すぐに困らないからこそ、意識して動き出すきっかけを作る。

それが、実家売却を納得できる形で終えるための第一歩になります。


以上、実家じまい・実家売却が「何から始める?」で止まりやすい4つの理由を解説しました。

止まる原因がわかれば、自分の家庭がどこでつまずいているのかも見えてきます。

次は、実際に決断から売却まで進めた方々のリアルな声を見ていきましょう。

【実録】実家じまいの決断から売却まで進めた8人のリアル体験談


実家じまいで最も参考になるのは、同じ立場で悩み抜いた方の実体験だと私は思っています。

ここでは、決断から売却を終えるまで進めた方の声を紹介します。

親の他界、施設入居、きょうだいの意見の相違…事情はさまざまですが、あなたに近い事例がきっと見つかるはずです。

プロ20年プロ20年

結果だけでなく
つまずいた場所にこそ
ヒントが詰まっていますよ

うまくいった判断も、やり直したいと感じた後悔も、包み隠さず載せました。

手放す寂しさ・罪悪感と向き合った体験談

実家を手放すことへの寂しさや、親への申し訳なさから決断できずに悩んだ方々の体験談を紹介します。

寂しさを感じたタイミングや気持ちの整理の仕方はそれぞれ異なるため、あなたの状況に近い体験談から読んでみてください。

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以上、実家じまいの決断から売却まで進めた8人のリアル体験談を紹介しました。

家族の数だけ事情があり、正解は1つではないと感じてもらえたのではないでしょうか。

同時に、多くの方が似た場所でつまずいている事実も見えてきたはずです。

はじめて査定を受ける方へ

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実家の売却で失敗しやすい「片付け・相続・売却」の落とし穴とは?


実家じまいでは、知識不足だけでなく動く順番を間違えたことで、余計な費用やトラブルにつながることがあります。

体験談でも、あと少し情報を持っていれば防げた後悔が並んでいました。

私が相談現場で実際に見てきた6つの落とし穴を、先回りして確認しておきましょう。

実家じまいの落とし穴

  1. 家財を全部処分してから売却相談を始めてしまう
  2. 遺品整理を1社だけで決めて費用が高くつく
  3. 相続した実家に使える税金の特例を知らずに手取りが減る
  4. 相続人の1人が独断で進めて後からもめる
  5. 1社だけの査定額を信じて相場より安く売る
  6. 家の不具合を伝えないまま引き渡して責任を問われる

1.家財を全部処分してから売却相談を始めてしまう

実家じまいで注意したいのが、片付けを終わらせてから不動産会社に相談するという順番です。

きれいにしないと相談できないと感じる気持ちはよくわかります。

ただ、家財が残った状態でも査定を依頼できますし、売却方法によっては残った家財の処分方法を不動産会社に相談できる場合もあります。

プロ20年プロ20年

築年数が古い実家だと
建物を残して売るだけでなく
土地としての売却を検討するケースもありますよ

先に費用と手間をかけて空っぽにしたのに、結果的に建物を取り壊して土地として売ることになった。

そんな体験談を、私は何度も聞いてきました。

ケイスケ

片付ける前に聞くだけでも
いいんですね
順番を間違えるところでした

まずは現状のまま不動産会社に見てもらい、建物を残して売るか、取り壊しも含めて検討するかの見通しを立ててから片付ける。

この順番にすることで、不要な片付けや処分に費用をかけるリスクを抑えられます。

2.遺品整理を1社だけで決めて費用が高くつく

遺品整理や不用品処分の費用は、家財の量や作業内容、建物の広さ、立地、搬出条件などによって変わります。

1社だけの見積もりで決めると、その金額や作業内容が妥当なのか比較しにくい点には注意が必要です。

なぜなら、作業範囲や料金に含まれるサービス、追加料金が発生する条件などが事業者によって異なるからです。

マチ

同じ家でも
依頼先によって内容が違うなら
比較しておきたいですね

見積もりは複数社に依頼し、作業範囲や追加費用の条件まで書面で確認してください。

家具や家電などに買取可能なものがある場合は、買取の対象になるか、処分費用とあわせて確認しておくと比較しやすくなります。

3.相続した実家に使える税金の特例を知らずに手取りが減る

相続した実家を売る際、利用できる税金の特例を知らないまま進めると、税負担に差が出ることがあります。

代表的なのが、一定の条件を満たす相続した空き家を売却した場合に利用できる最高3,000万円の特別控除です。

譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度で、主な要件には次のようなものがあります。

  • 原則として、1981年5月31日以前に建築され、区分所有建物登記がされていない家屋であること
  • 相続開始の直前に、原則として被相続人以外に居住していた人がいないこと
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売却代金が1億円以下であること(一定の分割売却や他の相続人による売却も判定に含まれる場合がある)
  • 家屋を売る場合は一定の耐震基準を満たすこと、または一定の期限までに耐震改修や家屋の取り壊しを行うなどの要件を満たすこと
プロ20年プロ20年

2024年1月1日以後の売却では
対象となる家屋や敷地を取得した相続人が3人以上の場合
控除の上限は2,000万円になります

私が特に注意してほしいと感じるのは期限です。

「相続から3年以内」と単純に決まっているわけではなく、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までが売却期限です。

加えて、現行制度では2027年12月31日までに行われる売却が対象です。

このほかにも細かな要件があり、適用の可否は個別事情で変わるので、早めに税務署や税理士へ確認しておくと安心できます。

4.相続人の1人が独断で進めて後からもめる

実家じまいでもっとも修復が難しいのが、家族間のこじれです。

きっかけのひとつが、動ける立場の1人が良かれと思って独断で進めてしまうことです。

実家の近くに住む方が片付けも手続きも引き受け、報告が後回しになる。

すると、離れて暮らすきょうだいは「勝手に決められた」と感じてしまうことがあります。

マチ

悪気がなくても
伝え方ひとつで
気持ちがこじれそうですね

相続が発生すると、遺産は原則として相続人らの共有となり、遺産分割では相続人全員で財産の分け方を決めることになります。

だからこそ、大切なことを決める前に情報を共有することが重要です。

査定書、見積書、手続きの進み具合を、その都度関係する相続人に共有する。

手間はかかりますが、後から認識の違いが生まれるのを防ぐためにも大切な一手間です。

5.1社だけの査定額を信じて相場より安く売る

実家の査定額は、不動産会社によって異なることがあります。

1社だけの査定額で売却方針を決めると、その金額が妥当なのか判断しにくいので気をつけてください。

不動産会社が提示する査定額は、取引事例などをもとに算出した売却価格の見立てであり、実際にその金額で売れることを保証するものではないからです。

会社によって参考にする取引事例や物件の評価、販売方針などが異なれば、査定額にも差が出ることがあります。

ケイスケ

同じ家でも違いが出るなら
1社だけで決めずに
比べておきたいですね

複数社に査定を頼み、近隣の取引事例や査定額の根拠、どのような販売方法を想定しているのかまで聞いてみてください。

高い査定額を出した会社が必ずしも良い会社とは限らない点も、覚えておいてほしいポイントです。

なお、複数社の比較なら、全国約2,500社が集まる日本最大級の『HOME4U一括査定(無料)』が便利です。

約1分で最大6社にまとめて依頼でき、「実際に売るかどうか」を決める前に相場をしっかり把握できます。

※面積はおおよそで大丈夫です
※査定後に売るかどうかは自由

6.家の不具合を伝えないまま引き渡して責任を問われる

築年数の古い実家ほど注意したいのが、引き渡し後のトラブルです。

雨漏りやシロアリ被害、給排水設備の不具合などが契約内容に適合していない場合、買主から修理や代金減額、損害賠償などを求められる可能性があります。

これは契約不適合責任と呼ばれるもので、実際の責任の範囲は契約内容や不具合の状況などによって変わります。

プロ20年プロ20年

住んでいなかった実家ほど
不具合に気づきにくいので
より慎重さが必要です

親から聞いていた雨漏りの話、業者に修理してもらった記録。

思い出せる範囲で書き出し、把握している不具合や修繕履歴は不動産会社に伝えておくことが大切です。

不安が残るなら、建物状況調査(インスペクション)を検討する方法もあります。

一定の資格を持つ建築士が、国が定めた基準に沿って建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分などの状況を調査するものです。

調査の範囲や費用は建物や依頼先によって異なるため、依頼する場合は事前に調査内容と見積もりを確認しておきましょう。


以上、実家の売却で失敗しやすい片付け・相続・売却の落とし穴を6つ紹介しました。

プロ20年プロ20年

どれも特別な事情に限って
起こる問題ではありません

裏を返せば、順番と確認のポイントを押さえて進めることで、トラブルのリスクを減らせます。

実家じまいの進め方|相続・片付け・査定・売却まで7つの手順


相続を伴う実家じまいでは、相続関係を確認してから片付けや売却へ進む流れが基本になります。

迷ったときは手順に沿って1つずつ片づけるだけでも、着実に前へ進めます。

ここからは、私が相談者に案内している7つの手順を順番に見ていきましょう。

実家じまいの手順

  1. 家族で実家をどうするか方向性を話し合う
  2. 遺言書の有無と相続人・財産の全体像を確認する
  3. 遺産分割協議をまとめて相続登記で名義を変える
  4. 片付ける前に不動産会社へ相談して査定を受ける
  5. 残す物と処分する物を分けて家財を片付ける
  6. 媒介契約を結んで売却活動をスタートする
  7. 売買契約を結び引き渡しと確定申告まで終える

1.家族で実家をどうするか方向性を話し合う

最初にやるべきは、手続きでも片付けでもなく家族での話し合いです。

売る・貸す・誰かが住む・残して管理する。

この方向性が決まらないまま動くと、時間や費用をかけた後で方針を見直すことになるおそれがあります。

ケイスケ

まず話し合いからなんですね
つい先に片付けから
手をつけそうでした

このとき、期限をゆるく決めておくのがコツです。

「次の法事までに結論を出す」といった区切りがあると、話が宙に浮きにくくなります。

私の経験では、関係する家族が十分に話し合わないまま進めると、後から意見が食い違うことがあります。

できるだけ関係者がそろう日を優先して設定してください。

2.遺言書の有無と相続人・財産の全体像を確認する

方向性が固まったら、相続の中身を確認します。

なぜなら、遺言書があるかどうかで進め方が大きく変わるからです。

有効な遺言書がある場合は原則としてその内容に沿って相続するため、遺産分割協議が不要になることもあります。

確認する内容と入手先を整理しておきましょう。

確認すること 調べ方・入手先
遺言書があるか 自宅の金庫や仏壇、法務局、公証役場など
相続人は誰か 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本など
実家の権利関係 法務局で登記事項証明書を取得する
実家以外の財産と借金 通帳、証券会社の書類、借入の契約書など
※自筆証書遺言は原則として家庭裁判所での検認が必要ですが、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されていた遺言書などは検認不要です。
プロ20年プロ20年

借金が多い場合は
相続放棄も選択肢になり
原則3カ月以内の判断が必要です

相続放棄などを選択するための期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内です。

また、相続税の申告が必要な場合は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内が申告・納税期限になります。

期限を過ぎると加算税や延滞税がかかる場合があるため、財産の全体像は早めにつかんでおきましょう。

3.遺産分割協議をまとめて相続登記で名義を変える

遺産分割協議が必要な場合は、誰が実家を引き継ぐかを相続人全員で話し合い、その内容を書面に残します。

話し合った結果は遺産分割協議書にまとめ、相続登記に使用する場合は相続人が実印を押し、印鑑証明書などの必要書類をそろえます。

必要書類をそろえて法務局に申請し登記が完了すると、実家の登記名義が相続した人へ変更されます。

マチ

書類集めだけで
心が折れそうですけど
自分でもできますか?

もちろん自分で申請することもできますが、相続人が多い場合や前の代の名義が残っている場合など、手続きが複雑なケースでは司法書士への依頼も選択肢です。

司法書士へ依頼する場合の報酬は、依頼内容や不動産・相続人の数などによって異なります。

また、相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産税評価額の0.4%ですが、一定の土地については免税措置が適用される場合があります。

なお、相続登記は原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

遺産分割によって不動産を取得した場合は、その遺産分割が成立した日から3年以内に、内容を反映した登記を申請する必要があります。

正当な理由なく申請義務を怠ると10万円以下の過料の対象になる可能性があるので、後回しにしないでください。

ここまで終われば、いよいよ売却に向けて動き出せます。

4.片付ける前に不動産会社へ相談して査定を受ける

名義が整ったら、家財が残ったままの状態でも不動産会社へ査定を依頼できます。

査定には、周辺の取引事例や物件情報などから算出する机上査定と、実際に現地を確認してもらう訪問査定があります。

実家のように築年数が古い建物では、建物の状態や周辺環境などを確認できる訪問査定を受けたほうが、より具体的な査定につながります。

プロ20年プロ20年

訪問査定を受けたからといって
その会社と媒介契約を
結ぶ必要はありません

不動産会社によって査定額や売却方針が異なることもあるため、複数社を比較する方法があります。

ただし、依頼先を増やしすぎると連絡対応の負担も大きくなるので、無理なく比較できる範囲に絞ることが大切です。

大手と地元密着の会社を含めて比較すると、それぞれの査定根拠や販売方針、得意分野の違いが見えやすくなります。

5.残す物と処分する物を分けて家財を片付ける

売却の見通しが立ったら、家財の整理に取りかかります。

いきなり捨て始めず、次の4つに仕分けると作業がスムーズに進みます。

  • 手元に残す物(写真、手紙、思い出の品)
  • 売れる可能性がある物(骨董品、着物、貴金属、家電)
  • 処分する物(家具、寝具、日用品)
  • 判断を保留する物(迷ったら1つの箱にまとめて先送りする)
ケイスケ

保留の箱があると聞いて
少し気持ちが
楽になりました

大切なのは、通帳や権利証・登記識別情報通知書、保険証券などの重要書類が家財に紛れていないかの確認です。

誤って処分すると、その後の手続きに手間がかかることがあります。

特に権利証や登記識別情報は、紛失しても不動産を売却できなくなるわけではありませんが、原則として再発行されないため慎重に扱ってください。

引き出しや押し入れの奥まで、処分する前にしっかり確認しましょう。

そして、仏壇や神棚を処分する場合は、宗派や地域、家族の考え方によって供養や魂抜きなどを行うことがあります。

必要に応じて菩提寺や神社、家族に確認しておくと安心です。

6.媒介契約を結んで売却活動をスタートする

依頼する会社を決めたら媒介契約を結びます。

契約は3種類あり、どれを選ぶかで依頼できる会社数や不動産会社からの報告頻度などが変わります。

一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
依頼できる会社数 複数社 1社のみ 1社のみ
自分で買主を探す できる できる できない
活動報告の義務 法律上の定めなし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
特徴 複数社へ依頼できる 1社へ任せながら自己発見取引もできる 1社へ任せ、より頻繁に活動報告を受けられる
※専任媒介・専属専任媒介の契約期間は3カ月を超えることができません。
マチ

遠方に住んでいるので
まめに報告をもらえるほうが
ありがたいです

誰も住んでいない実家では、内覧のたびに売主が遠方から現地へ通う必要があると負担が大きくなります。

鍵の預け方や換気などの管理を含めて、現地対応をどこまで任せられるかを契約前に確認しておきましょう。

7.売買契約を結び引き渡しと確定申告まで終える

買主が決まったら、いよいよ最終段階です。

条件がまとまったら売買契約を結び、契約内容に沿って残代金の決済と引き渡しを迎えます。

プロ20年プロ20年

決済日には印鑑証明書や
権利証・登記識別情報など
必要書類を早めに確認しましょう

必要な書類は取引内容によって異なるため、不動産会社や登記を担当する司法書士へ事前に確認しておくと安心です。

引き渡しに合わせて、電気・ガス・水道などの停止や契約変更、火災保険の解約手続きも確認しておきましょう。

そして、売却後は確定申告が必要かどうかを確認します。

土地や建物を売却して課税される譲渡所得が生じた場合は、原則として確定申告が必要です。

また、譲渡所得の特例を利用するために確定申告が必要になる場合もあります。

申告の時期は原則として売却した年の翌年2月16日~3月15日です。

一方、土地や建物の売却で損失が出ても、原則として給与所得などほかの所得とは損益通算できません。ただし、一定の要件を満たすマイホームの売却などでは、損益通算や繰越控除の特例を利用できる場合があります。

マチ

売って終わりじゃないんですね
翌年まで覚えておかないと
危なかったです


以上、実家じまいの進め方を相続・片付け・査定・売却まで7つの手順で解説しました。

一気に全部やろうとせず、今日はどの手順にいるのかを確かめながら進めてみてください。

プロ20年プロ20年

1つ終えるごとに、
肩の荷が少しずつ軽くなっていくはずです

売却を進める前に確認したいこと現状に悩みや負担があっても、すぐに売却したほうがいいとは限りません。ローン残債、家族や親族の意向、今後の暮らしや維持管理を整理しないまま進めると、売ったあとに後悔することがあります。検討の際は、売却した場合と売却せずに今の状態を続けた場合を十分に比べることが大切です。

まとめ:大切な実家だからこそ、納得できる手放し方を選ぼう!


今回の不動産とーくは『実家じまい+売却は何から始める?8人の体験談と失敗しない7つの手順』と題して解説しました。

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実家じまいへの不安は
少し軽くなりましたか?

実家を手放すのは、財産の整理であると同時に、親との時間に区切りをつける作業でもあります。

だからこそ、途中で気持ちが揺れるのは自然なことです。

迷う時間そのものを、必要な過程として認めてあげてください。

そのうえで、今日から動ける小さな一歩を用意しておきましょう。

  • 実家の登記事項証明書を取り寄せる(名義の現状がわかる)
  • 家族に連絡して集まれる日を決める(話し合いの土台になる)
  • 実家の写真を撮っておく(会社への相談時にそのまま使える)

どれも1時間もあれば終わります。

止まっていた実家じまいが、ここから静かに動き出すはずです。

業界歴20年以上「不動産コンサル西田」のアドバイス

最後に、記事の中では触れなかった大切な視点をお伝えします。

それは、実家じまいには家族の中に必ず「感情の担当」が生まれるということです。

手続きを進める方、費用を出す方の隣には、割り切れない気持ちを抱えたままの方がいます。

その方の「まだ早い」という言葉を、私は反対意見だと受け取らないようにしてきました。

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反対ではなく
心の準備が追いついていない
だけのことも多いんです

急かさずに事実を共有し、判断の時期を一緒に決める。

その姿勢が、結果的に一番早く話をまとめます。

もう1つ、私が3,000件を超える相談を受けてきて感じるのは、1人で抱え込んだ方ほど後悔が残りやすいという事実です。

不動産会社、司法書士、税理士、遺品整理の会社。頼れる先はいくつもあります。

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無料の相談窓口も多いので
気軽に使ってみてください

完璧な実家じまいを目指す必要はありません。

家族が納得できる形で区切りをつけられたなら、それが十分に良い手放し方だと私は思います。

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査定額を正しく見極めるために不動産の査定額は売却価格の目安であり、その金額での売却を保証するものではありません。査定額の高さだけでなく、算出根拠と担当者の説明もしっかり確認しましょう。

ここまで読んでくれて、本当にありがとうございます。

実家と向き合う時間は、決して楽なものではありません。

それでも、あなたが動いた分だけ選べる道は広がります。

焦らず、けれど止まらず、進んでいってください。

以上『実家じまい+売却は何から始める?8人の体験談と失敗しない7つの手順』でした。

この記事の執筆者
西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)
西田 喜宣|クラウドハーツ・リアルエステート代表
不動産×住宅業界20年以上。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。運営メディアは累計120万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
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実家じまいでは、ご近所や親族への挨拶をどのように進めればよいか悩まれる方も多いのではないでしょうか。

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