「ローンを払い続けられるか、毎月不安になる」
「売りたいけど、損するなら諦めるしかない?」
マイホームを手に入れた喜びが、いつの間にか重荷に変わっていく。
そんなマイホームブルーの苦しさを、誰にも言えないまま一人で抱えている方は、決して少なくありません。
「購入したばかりで売却なんて…」と思う気持ちはよくわかります。
でも、そのまま無理して住み続けることで、家計と心の両方が限界を超えてしまうケースも、現実には起きています。
残債割れや売却損への不安から「動けない」と感じている方ほど、実は最初に確認すべきことが抜け落ちているだけで、動き出せる状況にあることが少なくありません。
この記事では、不動産×住宅業界のプロが『【体験談】マイホームブルーで売却。松浦さん180万の残債割れでも手放した話』と題して紹介します。
読み終えたとき、「売るべきか・住み続けるべきか」の答えが漠然とした不安ではなく、自分の状況に照らした具体的な判断軸として手元に残る記事を目指しました。
- 西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)

-
不動産×住宅業界20年。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。ブログ120万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士

ここで紹介するのは全22人の体験談のうちの1つです。マイホームや新築への後悔から「家を売りたい…」と決断するまでの経緯は人それぞれ異なります。ほかの方の体験談、売却に向けた知識や全体像をまとめて知りたい方は『マイホーム・新築の後悔をリセット!家を売りたい22人の体験談と売却の全体像』の記事を参考にしてください。
【体験談】マイホームブルーで売却を決めるまでの夫婦の判断

早速、マイホームブルーを経験し、入居からわずか1年余りで売却を決断した千葉県在住の松浦奈緒さんにお話を伺います。
- 松浦 奈緒さん(マツウラ ナオ)

-
【年齢】36歳【居住地】千葉県
【自己紹介】夫と4歳の息子との3人暮らし。結婚7年目に完成済みの建売住宅を購入し、頭金300万円、借入額3,980万円、35年返済で入居した。入居後、月11万8,000円の支払いに固定資産税や車の維持費が重なり、前面道路の音や隣家との距離、冬場の底冷えなども気になり始めた。購入から8カ月後に不動産会社3社へ査定を依頼したが、最初の提示額は残債より180万円低く、すぐには決断できなかった。その後、住み続ける場合の支出と賃貸へ戻る場合の家賃を夫婦で整理し、週末の内覧対応や2回の価格調整を経て、4カ月後に買主が決定。売却を終えた今は、家を手放した後悔よりも、毎朝胸が苦しくならない生活に戻れた安堵の方が大きい。※プライバシー保護により仮名
プロ20年 松浦さん、本日は
貴重な体験談を
聞かせていただき
ありがとうございます
松浦さん こちらこそ、同じように
悩んでいる方の参考に
なればと思って
来ました
夫と4歳の息子との3人暮らし。頭金300万円、借入額3,980万円、35年返済で建売住宅を購入した松浦さんが、マイホームブルーと向き合い、残債割れでも売却を選んだその判断の経緯を詳しくお聞きしていきます。
- 入居後いつ「マイホームブルー」だと気づいた?
- 毎日の暮らしで一番つらかった不満は?
- 住宅ローンや維持費の不安はどこまで大きくなった?
- 夫に「売却したい」と打ち明けるまで何に悩んだ?
- 売却前に「住み続ける選択肢」はどこまで考えた?
- 査定額が残債より低いと知ったとき、どう判断した?
- 売り出しから成約まで大変だったことは?
- 今、マイホームブルーで売却を迷う人へ伝えたいことは?
それでは、購入前の期待と現実のギャップから、順番にお聞きしていきましょう。
入居後いつ「マイホームブルー」だと気づいた?
あなたはマイホームを購入したとき、どんな未来を思い描いていたでしょうか。
松浦さんが最初にこの家に惹かれたのは、広くて明るいLDKと対面キッチンでした。
松浦さん 「ここで毎日料理したい」
って本当に思ったんです
見学のときはテンションが
上がりっぱなしで
「家賃を払い続けるより、自分たちの資産になる」という気持ちも後押しになり、深く迷うことなく購入を決めました。
ところが、実際に暮らし始めると、その期待感はじわじわと薄れていきました。
松浦さん 入居して2週間くらいで
「あれ?」って思い始めて
1カ月後にはもう
しんどかったです
プロ20年 思ったより早いですね
具体的にはどんな
違和感でしたか?
松浦さん まず朝が無理で…
道路の音で6時前に
起こされる日が続いて
寝た気がしないんです
「慣れるだろう」と思っていた生活音や住環境の問題が、慣れるどころか日に日に気になっていったと言います。
見学時には気づかなかったこと、気にならなかったことが、毎日の暮らしの中で少しずつ積み重なっていきました。
プロ20年 見学時と実生活では
同じ家でも見え方が
変わりますからね
特に音や日常の動線は
実際に住んでみないと
わかりにくいです
毎日の暮らしで一番つらかった不満は?
「1つだけ」なら我慢できたかもしれない。でも現実は、そうはいきませんでした。
松浦さんが「売却を考えるほど」しんどくなった生活ストレスは、次の4つが重なったことでした。
- 前面道路の抜け道利用による早朝からの交通騒音
- 隣家との窓の位置が近く、常に人目を意識してしまう閉塞感
- 断熱性能の低さによる1階の底冷え(特に冬場の洗面所・トイレ)
- 洗面所が狭く、朝の支度が息子と一緒だとぎゅうぎゅうになる
特につらかったのは、朝の時間帯でした。
道路の音で目が覚め、寒い1階で支度をして、狭い洗面所で息子と体をぶつけながら出かける準備をする。
毎朝の「小さなしんどさ」が積み重なるほど、マイホームへの後悔は深まっていきました。
松浦さん どれか1つなら
我慢できたかもしれません
でも全部が毎日続くと
心が折れてくるんです
プロ20年 建売住宅は間取りや仕様が
規格化されているので
生活スタイルとのズレが
出やすい面もありますね
カーテンを閉めれば解決する、厚着すれば大丈夫、そう自分に言い聞かせてみても、毎日繰り返される不満は「慣れ」では解消されなかったと松浦さんは振り返ります。
住宅ローンや維持費の不安はどこまで大きくなった?
住環境だけではなく、家計面でも不安は膨らんでいきました。
松浦さん 毎月11万8,000円の
ローン返済に加えて
固定資産税の通知が来て
「こんなにかかるの?」って
プロ20年 購入前に総支出を
試算していても、実際に
通知が届いた瞬間の
重さは別物ですよね
松浦さんの場合、月々の固定費をまとめると次のようになります。
| 費目 | 月あたりの目安額 |
|---|---|
| 住宅ローン返済 | 約11万8,000円 |
| 固定資産税(月割り) | 約9,000円 |
| 火災・地震保険(月割り) | 約3,000円 |
| 車の維持費(駐車場・保険含む) | 約3万円 |
| 合計(住居+車関連) | 約16万円 |
松浦さん これに食費や光熱費
教育費が加わると
毎月の余裕がなくて
家計簿が怖くて開けない日もあって
さらに松浦さんが契約したのは変動金利型。
金利が上がれば返済額も増えるという不安が、ローン残高の重さと一緒に常に頭の片隅にあったそうです。
プロ20年 変動金利は当初の返済額が
抑えられる反面、金利が
上昇した場合は返済額が
増える可能性があります
住宅費全体の上限を
決めておくことが大切ですね
「住んでいる家に、こんなに怖い気持ちを持つとは思わなかった」。
そう語る松浦さんの言葉には、当時の息苦しさがにじんでいました。
松浦さん 毎月の支払いは
なんとかできていたけど
「この先も大丈夫か」という
不安が消えなかったんです
夫に「売却したい」と打ち明けるまで何に悩んだ?
不満や不安が積み重なる中でも、松浦さんがすぐに夫へ相談できなかったのにはわけがありました。
松浦さん 買ったばかりなのに
「失敗した」って言うのが
怖くて…夫に申し訳なくて
プロ20年 気持ちはよくわかります
パートナーに言い出せず
1人で抱え込む方は
本当に多いんですよ
夜中にスマートフォンで「マイホームブルー 売却」「住宅ローン 残債 売却」といったキーワードを検索し続けた日々。
松浦さんは、それを誰にも言えないまま数カ月間続けていたと言います。
松浦さん 夫は家を気に入っていたし
「もう少し慣れたら変わる」
と思いたい自分もいて
踏み出せなかったんです
転機は、入居から7カ月が経った頃でした。
家計の記録を見直していて、このペースで続けた場合の10年後の貯蓄残高が頭に浮かび、ぞっとしたと言います。
松浦さん 「このまま続けていいの?」
って思ったとき
夫に正直に話すしかないと
決めました
話し合いの場を設けると、夫も「実は少し無理しているかもしれない」と打ち明けてくれたそうです。
お互いが本音を話せたことで、初めて「どうするか」を2人で考えられるようになったと松浦さんは言います。
プロ20年 1人で抱えているうちは
「売るか住み続けるか」の
判断すら始まらないですからね
話し合いが動き出す
きっかけになったんですね
売却前に「住み続ける選択肢」はどこまで考えた?
夫婦で話し合った結果、すぐに「売る」とはならなかったようです。
松浦さん いきなり売却より
まず「このまま住めるか」を
ちゃんと考えました
松浦さん夫婦が整理した3つの選択肢と、それぞれの結論を下の表にまとめます。
| 選択肢 | 検討した内容 | 結論 |
|---|---|---|
| 家計を見直して住み続ける | 固定費の削減を試みた | ローンと車の維持費は削れず、余地は月数千円程度 |
| 慣れるまで様子を見る | 入居から8カ月近く経過を観察した | 道路の音にも底冷えにも「慣れた」とは感じられなかった |
| 売却して賃貸へ戻る | 同エリアの3LDK家賃相場(月10万円前後)と比較した | 支出の差が小さく、精神的な負担を考えると現実的な選択肢になった |
松浦さん 数字で並べてみると
「売却=大損」じゃないかも
って思えてきたんです
プロ20年 賃貸に戻る場合、
初期費用や引越し費用も
かかりますが、長期的な
家計の安定を優先するなら
十分あり得る選択ですよね
3つの選択肢を整理したことで、松浦さん夫婦の気持ちは少しずつ「売却」へと傾いていきました。
査定額が残債より低いと知ったとき、どう判断した?
売却を現実として考え始めた松浦さんは、まず家の価値を知ることにしました。
プロ20年 査定額はどのように
確認されましたか?
松浦さん 不動産一括査定を使って
3社に同時依頼しました
1社ずつ探すのが大変で
まとめて比較できて
助かりました
3社から届いた査定結果をまとめると、以下のようになります。
| 査定会社 | 査定額 | 印象・提案内容 |
|---|---|---|
| A社(大手) | 3,750万円 | 周辺の成約事例を丁寧に説明。強気の価格設定で早期売却を提案 |
| B社(地元密着) | 3,680万円 | エリア実績が豊富で、地元の買主ニーズを具体的に説明してくれた |
| C社(大手) | 3,720万円 | 売却後の住み替えプランまで含めた提案。サポート体制が手厚かった |
当時の住宅ローン残債は約3,860万円。
最も高い査定額でも残債を下回り、売却しても約110万円~180万円の「残債割れ」が生じる見込みでした。
松浦さん 数字を見たとき
やっぱりか…って
ため息が出ましたね
プロ20年 残債割れは確かに
つらい現実ですが、
手元資金で補えるかどうかが
判断の分かれ目になります
松浦さんの場合、当時の手元資金はおよそ250万円。
残債割れ分と売却時の諸費用(仲介手数料など)を合わせても手持ちで対応できる範囲だと判断し、「すぐに売り出す」方向で夫婦の気持ちが固まりました。
松浦さん 損するのはわかっていたけど
毎日しんどい生活を
何年も続けるほうが
もっと損だと思ったんです
金額の損得だけでなく、毎日の生活の質と心の健康をどちらに置くかが、最終的な判断基準になったと言います。
売り出しから成約まで大変だったことは?
売却を決めた後も、簡単には終わりませんでした。
査定3社の中から地元のエリア実績が豊富なB社に依頼し、担当者と話し合いながら売り出し価格を3,700万円に設定。
当初は「少し強気でも買主が見つかるかも」という期待がありましたが、現実はそう甘くはありませんでした。
松浦さん 最初の1カ月は内覧が
来ても来なくても
毎週末ソワソワして
ずっと落ち着かなかったです
プロ20年 子育て中の売却活動は
体力的にも精神的にも
本当にハードですよね
松浦さん 息子を連れて毎週末
外出するのが続くと
それだけでくたくたで…
売り出しから約2カ月後に1回目の価格調整、3カ月後に2回目の調整を行い、最終的に4カ月で買主が決まりました。その経緯を下の表にまとめます。
| 時期 | 動き | 売り出し価格 |
|---|---|---|
| 売り出し開始 | B社と媒介契約を締結。週末内覧対応を開始 | 3,700万円 |
| 約2カ月後 | 内覧数は来るものの申込みに至らず、1回目の価格調整 | 3,650万円 |
| 約3カ月後 | 反響が落ち着き、担当者と協議のうえ2回目の価格調整 | 3,600万円 |
| 約4カ月後 | 買主が決まり、売買契約を締結 | ― |
成約額は最終的な売り出し価格をわずかに下回るかたちで決着しましたが、松浦さんは「想定の範囲内だった」と話します。
松浦さん 価格を下げるたびに
複雑な気持ちになりましたが
「ここで決まれば終わる」と
自分に言い聞かせていました
プロ20年 2回の価格調整と
4カ月での成約は
決して長くない結果です
準備と判断がしっかり
できていたからだと思います
売却を終えた今、「毎朝、胸が苦しくならない生活に戻れた」と松浦さんは穏やかな表情で話してくれました。
今、マイホームブルーで売却を迷う人へ伝えたいことは?
最後に、今まさに「マイホームブルーで売却を迷っている」という方へ向けて、実体験からのメッセージをいただきました。
プロ20年 「売却は早すぎる」
「損してでも手放すべきか」
で悩む方へ、経験者として
まず何を確認してほしいですか?
松浦さん まず残債と査定額を
知ることだと思います
「きっと損する」って
思い込んでいる方が多いので
松浦さんが「迷っている方に最初に確認してほしい」ことをまとめると、次の通りです。
- 今の住宅ローン残債の正確な金額を確認する
- 複数社に査定を依頼して、家の現在の市場価値を把握する
- 残債割れが生じる場合、手元資金で補えるかを試算する
- 売却後の家賃と現在の住居コストを数字で比較する
- 「住み続けることで毎月の暮らしにどんな影響が出るか」も判断材料に加える
プロ20年 感情と数字の両方を整理して
判断するのが大切ですね
どちらか一方だけで
決めると後悔しやすいです
松浦さん 私も最初は
「売ったら全部終わりだ」
みたいに思っていましたが
売った後に生活が
戻ってくる感じがしました
「早すぎる売却なのか」という問いに対して、松浦さんはこう答えます。
「タイミングより、今の生活が自分たちに合っているかどうかが大事だと思います。合っていないなら、早いに越したことはない」
売却は「失敗を認めること」ではなく、「自分たちの生活を守るための選択」。
松浦さんのその言葉が、同じ悩みを抱える方へ届くといいなと感じます。
松浦さん マイホームブルーで苦しんでいる方が
「自分だけじゃない」と
思ってくれたらうれしいです
プロ20年 本日は正直な体験を
話してくださって
ありがとうございました!
以上、マイホームブルーをきっかけに売却を決断した松浦奈緒さんの貴重な体験談を、インタビュー形式でお伝えしました。
松浦さんが売却を動き出せたのは、「家の価値を数字で知った」ことがきっかけでした。
査定を依頼するまでは「どうせ損する」という思い込みだけがあり、具体的な金額は何もわかっていなかったと言います。
プロ20年 査定額を知って初めて
「手元資金で補えるか」が
計算できるようになります
まず数字を把握することが
判断の出発点です
「査定=売却確定」と思い込んでいる方が多いですが、査定はあくまで現在の価値を知るための情報収集です。
【チェック診断】マイホームブルーは一時的?売却検討レベルは?
マイホームブルーと聞くと、「誰でも最初は感じるもの」「そのうち慣れる」と思う方も多いでしょう。
確かに、引越し直後の環境の変化や生活リズムの乱れからくる一時的な不安なら、1〜3カ月ほどで落ち着いてくる場合があります。
ただ、松浦さんのように入居後も不安やストレスが解消されないまま半年以上続く場合は、売却を視野に入れた判断が必要になることもあります。
プロ20年 「気のせいかな」で
済ませてきた違和感も
チェックすることで
客観的に整理できます
ぜひ正直にチェック
してみてください
今のあなたのマイホームブルーがどのレベルにあるのか、下のチェックリストで確認してみてください。
| 項目 | |
|---|---|
- 0〜2個:様子見レベル
→住環境や家計への不満は小さく、現時点では売却を急ぐ必要はありません。生活の変化に応じて定期的に見直す習慣をもちましょう - 3〜5個:注意レベル
→一時的なストレスとは言い切れない兆候があります。住み続けた場合の将来コストと、現在の家の査定額を一度確認してみる価値があります - 6〜8個:検討レベル
→生活の質や家計に対して、無視できない影響が出始めています。売却を選択肢の1つとして、具体的な情報収集を始めるタイミングです - 9個以上:早期判断レベル
→心身や家計への負担が積み重なっている状態です。まずは現在の家の市場価値を知ることが、次の一手を判断する出発点になります
マイホームブルーの深刻さは、チェックの数だけで決まるものではありません。
プロ20年 チェック数が少なくても
複数の項目が長期間
続いているなら
軽く見ないほうがいいです
「慣れるはず」と待ち続けた分だけ
判断が遅れることもありますよ
1つひとつの不満が「毎日・長期間・複合的に」重なっているほど、生活への影響は大きくなる傾向があります。
チェック結果はあくまで目安ですが、「自分はどの段階にいるのか」を客観的に把握すること自体が、冷静な判断への第一歩になります。
マイホームブルーで売却する前に知るべき残債割れの考え方
「査定額が残債より低かった」という理由だけで、売却を諦める必要はありません。
残債割れとは、売却価格が住宅ローンの残債を下回る状態のことです。
松浦さんも査定額と残債の差が最大180万円ありましたが、手元資金で補填できると判断したことで、売却への一歩を踏み出せました。
残債割れで知っておくべきことは「なぜ起きるのか」「どう対処するのか」「本当に売って正解なのか」の3点です。
新築・築浅の物件が残債割れしやすい理由
購入直後の建売住宅や新築マンションが残債割れしやすいのには、明確な理由があります。
まず、新築物件には「新築プレミアム」と呼ばれる価格上乗せがあり、入居した瞬間に市場価値がおよそ1割~2割程度下がる傾向があります。
一方、住宅ローンの残債は購入直後がほぼ満額に近い状態で、元金の減りが遅い序盤は特に「価値の下落」と「残債の減少」のギャップが大きくなりやすいのです。
プロ20年 元利均等返済の場合、
返済初期は利息の割合が
高いため元金がなかなか
減りません。残債割れが
起きやすい構造は、ローンの
仕組みからくるものですよ
たとえば3,980万円を35年・変動金利で借り入れた場合、入居から1年後の残債は約3,870万円前後です。
この間に物件価格が新築プレミアム分だけ下がれば、査定額が残債を下回るのは珍しいことではありません。
「自分だけが失敗した」わけではなく、築浅の残債割れは新築購入の構造上、起こりやすい状態だと理解しておくことが大切です。
また、元利均等返済の仕組み上、返済初期は元金の減りが遅く、物件価値の下落に残債の減少が追いつかない期間が数年続くことも覚えておきましょう。
残債割れでも売却できる「任意売却」と「自己資金補填」の違い
残債割れのまま売却する方法は、主に2つあります。
| 自己資金で補填する売却 | 任意売却 | |
|---|---|---|
| 対象 | 手元資金で残債との差額を補える方 | 手元資金がなく、ローン返済も困難になった方 |
| 金融機関の同意 | 原則不要 | 必要(金融機関と交渉が必要) |
| 信用情報への影響 | なし | あり(事故情報として記録される場合が多い) |
| 売却後の残債 | 差額を一括返済して完済 | 残債が残るケースもあり、返済計画を金融機関と協議 |
| 売却活動の自由度 | 通常の売却と同じ | 金融機関の意向が反映されやすい |
松浦さんのように手元資金で差額を補えるなら、通常の売却と同じ流れで進められるため、信用情報に傷がつくこともありません。
任意売却は、ローン返済自体が困難になった場合の最終手段に近い選択肢です。
プロ20年 「残債割れ=任意売却」と
思い込んでいる方も多いですが
手元資金で補填できるなら
任意売却は不要ですよ
まず自分がどちらに
当てはまるかを確認してください
残債割れで悩んでいる方には、まず自分がどちらのケースに当てはまるかを確認することをお勧めしています。
残債割れ額と手元資金から「売却できるか」を判断する方法
残債割れでも売却できるかどうかは、次の計算で判断できます。
- 現在の住宅ローン残債を金融機関に確認する
- 不動産会社に査定を依頼し、売却可能な市場価格の目安を把握する
- 「残債-査定額」で残債割れ額を算出する
- 売却時の諸費用(仲介手数料・抵当権抹消費用など)も加算して必要総額を出す
- 手元資金(預貯金)で必要総額を賄えるかを確認する
売却時の仲介手数料は売却価格の3%+6万円(税別)が上限です。
たとえば売却価格が3,650万円なら最大約115万円前後(税別)で、残債割れ額にこの金額を加えたものが「売却に必要な自己資金の総額」になります。
プロ20年 私がよく相談を受けるのは
「いくら損するかわからなくて
踏み出せない」という方です
計算してみると思ったより
少ない金額で済むケースも
少なくないですよ
「損をする金額」を漠然と恐れるより、実際に数字で把握することで、売却の判断がぐっと現実的になります。
松浦さんも、紙に書き出して計算したことで、ようやく決断に踏み出せたと話していました。
残債割れでも「売って正解だった」と言える判断基準
残債割れで売却するということは、売却代金だけではローンを完済できず、差額を手出しで支払うことを意味します。
ただし、私は20年以上の経験の中で、残債割れで売却した方が「正解だった」と感じるケースを数多く見てきました。
4つの観点で整理すると、次の通りです。
| 観点 | 「売って正解」になりやすい | 「様子を見る」が現実的 |
|---|---|---|
| 心身への影響 | 住み続けることで睡眠・精神面に影響が出ている | 不満はあるが、日常生活への影響は軽度 |
| 補填資金 | 残債割れ額を手元資金で補填でき、売後の家計が安定する | 残債割れ額が大きく、補填できる目途が立たない |
| 売却後の住居コスト | 売却後の家賃が現在の住居コストと大きく変わらない | 売却後の住居コストが現在を大幅に上回る |
| 将来の返済リスク | 変動金利で金利上昇リスクが大きく、長期返済に不安がある | 固定金利で返済額が安定しており、将来の変動リスクが低い |
「損をしたくない」という気持ちだけで売却を先送りにすると、その間にも利息の支払いや生活ストレスのコストは積み上がっていきます。
プロ20年 残債割れの金額と
住み続けることで生じる
トータルコストを比較すると
「早く売った方が総合的に
損が少なかった」という
ケースは実際に多いですよ
売却によって生じる「確定した損失」と、住み続けることで積み上がる「見えにくいコスト」を両方並べて考えることが、後悔しない判断につながります。
以上、マイホームブルーで売却を考える方に向けて、残債割れの正しい考え方と判断基準を解説しました。
まとめ:マイホームブルーを我慢せず、売却後の生活も含めて判断
今回の不動産とーくは『【体験談】マイホームブルーで売却。松浦さん180万の残債割れでも手放した話』と題して、下記の項目を解説しました。
- 【体験談】マイホームブルーで売却を決めるまでの夫婦の判断
- 【チェック診断】マイホームブルーは一時的?売却検討レベルは?
- マイホームブルーで売却する前に知るべき残債割れの考え方
- まとめ:マイホームブルーを我慢せず、売却後の生活も含めて判断
プロ20年 松浦さんの体験談や
残債割れの考え方は
疑問の整理に
役立てましたか?
マイホームブルーは、「慣れる」か「我慢するか」しかないと感じている方が多いでしょう。
でも、売却という選択肢を真剣に考え始めた瞬間から、視点は「この家をどう受け入れるか」から「自分たちの生活をどう立て直すか」へと変わります。
マイホームブルーの出口は、今の家への後悔をどう消すかではなく、売却後の生活をどう描くかにあります。
残債割れがあっても、手元資金と売却後のコストを正確に把握できれば、売却は十分に現実的な一手になります。
大切なのは、感情だけで動くのでも、数字だけで判断するのでもなく、「毎日の暮らしの質」と「家計の現実」を両方の目で見ることです。
業界歴20年以上「不動産コンサル西田」のアドバイス
マイホームブルーで売却を考える方に、私がいつも最初に伝えることがあります。
それは、「売るかどうかより先に、今の家の価値を知ってほしい」ということです。
プロ20年 査定額を知らないまま
「どうせ損する」と
思い込んでいる方が
本当に多いんですよね
査定はあくまで情報収集です。依頼したからといって、売却が確定するわけではありません。
にもかかわらず、「査定=売る決断」と思い込んで、何カ月も一歩が踏み出せない方を、私はたくさん見てきました。
プロ20年 動けない間も
ローンの利息は
毎月かかり続けます
「知る」だけでも
十分に価値がありますよ
まず査定を受けてほしい理由は、それだけではありません。
複数社の査定を比較することで、1社だけでは見えなかった価格の幅や、担当者の対応・提案力の違いも自然とわかってきます。
売却活動のパートナー選びという観点でも、複数社への査定依頼は必ず役に立ちます。
そして、査定と並行して進めておきたいのが「売却後の生活設計」です。
売却を決断した後に慌てて考え始める方が多いのですが、売却後の住まいと家計のイメージを事前に持っておくと、判断も売却活動もぐっとスムーズになります。
売却を検討し始めたら、査定と合わせて確認しておきたいことをまとめます。
- 売却後に住む賃貸物件の家賃相場を、エリアごとにざっくり把握しておく
- 引越し費用・賃貸の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)を概算しておく
- 売却にかかる諸費用(仲介手数料・抵当権抹消費用など)を事前に試算する
- 売却益や手元に残る資金で、当面の生活費を何カ月分カバーできるかを確認する
- 子どもの転校・通勤距離など、家族への影響も含めて引越し先の条件を整理する
プロ20年 この5つを整理するだけで
頭の中のモヤが
かなりすっきりしますよ
「売る・売らない」の判断は
その後で十分です
今の暮らしに息苦しさを感じているなら、それはすでに「一度立ち止まって考えるサイン」だと思います。
「売るかどうか」より「売った後にどう生きるか」を先に描いておく。
その視点が持てたとき、マイホームブルーは「どうにもならない悩み」から「動けば変えられる問題」に変わります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
一人で抱え込まず、まずは家の価値を「数字」で知ることから始めてみてください。
あなたと家族の暮らしが、より良い方向へ動き出すことを心から応援しています。
以上『【体験談】マイホームブルーで売却。松浦さん180万の残債割れでも手放した話』でした。
- 西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)

-
不動産×住宅業界20年。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。ブログ120万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
マイホームや新築の購入後に後悔を感じ、「家を売りたい…」と思われている方も少なくありません。売却を検討する理由や流れ、実際に家を売った方々のリアルな体験談を幅広く知りたい場合は、下記の記事がきっと参考になります。
「こんなに後悔するなら買わなければよかった」 「売りたい気持ちはあるけど、本当に売っていいのか」 「買ったばかりの家を売るなんて、周りにどう思われるか」 夢だったはずのマイホームに、住み始めてから「こんなはずじゃなかった …









