「管理組合に入りたくない…理事会とか拒否したい…」
「理事長や役員はさすがに面倒…断ることできるの?」
分譲マンションを購入すると、必ず付いて回る「管理組合」。
一般的に輪番制でまわる管理組合の役員は、定期的な会合、つまり「理事会」に出席する必要があります。
1~2ヶ月に1回程度とはいえ、せっかくの休日に「はぁ…面倒な活動だな」「…うざい…なんで私が」と感じる人も多いでしょう。
そんなマンション管理組合の理事長や役員。
辞退や拒否はできますが、面倒が理由で断るべきではありません。
分譲マンションは賃貸と違って「所有者全員の大切な資産」。
その資産価値を良好に維持するために、管理組合がとても重要な働きをしているからです。
教授、今回は「マンションの管理組合」についてです!
確かに面倒と感じる人が多いですよね…
管理組合に入りたくないことを理由にマンション自体買わない人もいるぐらいじゃ(汗)
今回の不動産とーく『マンションの管理組合がうざい…面倒な理事会や役員は断る事できる?』では、不動産業界18年の知識と経験にもとづき、高い信頼性を心掛けて解説していきます。
この記事を読み終える頃には、マンション管理組合について一般的な知識を得た上で、最終的に「断るべきかor断らないべきか」まで判断できるようになると思います。
「マンションの管理組合がうざい…」とストレスを抱えている人は、一度知ることから始めてみて下さい!
- 西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)
-
不動産 x 住宅業界18年。3,000人以上の売却・購入・住み替え等をサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。ブログ116万PV超 ≫運営者情報
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
マンション管理組合とは?
面倒でうざいかまずは必要性を知るべし
「マンション管理組合」とは、主にマンションの共用部分を維持管理していくために住人で構成された団体です。
共用部分?
マンション内を簡単に区分すると、部屋の中を「専有部分」と呼び、部屋の外を「共用部分」と呼びます。
例えば、マンション住人や来訪者が利用するエレベーターやエントランスのオートドア、外構や植栽、宅配ロッカーなどは共用部分に該当します。
これらの設備やスペースはマンション住人を中心に不特定多数が使うため、住人全員の責任と負担で維持管理をしなければなりません。
ただ、共用部分で何か問題が発生するたびに全員が集まって、あれこれ協議するのは難しいですよね。
そこで、共用部分の問題を解決し、適切な維持管理のために組成されるのが「マンション管理組合」であり、そのための運営費として管理費や修繕積立金が毎月集めているわけです。
さらに、複数名を選任して役割の中心人物をたてるんじゃ
それが「役員」というわけじゃな
責任が重そうですね(汗)
面倒とか入りたくない人が多いのも少しわかる気がします
ただ、分譲マンションを購入した時点で、強制的に管理組合員の立場になります。
入りたくないなどの理由で拒否はできませんし、管理費や修繕積立金の支払いをこばむこともできません。
その地域の市民となって、維持管理のための税金を納めている、と同じような考え方です。
よくわかりました
ちなみに管理組合って「管理会社」とは違うんですか?
うむ、全く別物じゃ!
ちょっと解説しておこうかの~
マンション「管理組合」と「管理会社」は別物
マンション管理組合と管理会社は全く別物です。
「マンション管理会社」とは、管理組合が本来行うべきマンションの維持管理の役割を、管理組合から委託を受けて、仕事としておこなう会社です。
実際に共用部分の維持管理を、住民で組成された管理組合が担うのは無理があります。
例えば、エレベーターや給水ポンプなどの専門的な設備を、住人達自ら管理なんてできませんからね。
マンション内の毎日の掃除や点検など日常的な維持管理も、仕事や家事などで忙しい人には難しいでしょう。
そこで、マンションの管理会社が、管理人の派遣や専門業者の派遣、会計の管理など、マンション共用部の維持管理のために管理組合をサポートする役割を担うわけです。
役員のみが集まる理事会や住人全体が集まる総会も主体はマンションの管理組合ですが、管理会社も同席して運営の補助を行います。
名前が似てるので、混乱しそうですね
両者の簡単な説明を、念のため表にまとめておくぞ!
名称 | 役割 |
---|---|
管理組合 | 住人で構成する団体で、主にマンションの共用部分を維持管理していく |
管理会社 | 管理組合が本体行うべきマンションの維持管理の役割を、委託を受けて仕事として行う |
大半の住人はマンション管理に対して初心者です。
適切な維持管理をおこない、住民みんなが快適な生活を送るためにも、マンション管理会社のサポートは必須と言えます。
マンション管理組合が担っている役割は理解できたかの~?
マンション購入後、管理組合への加入は仕方ないとしても、「責任が重い面倒な役割だけは避けたい…」のが正直な気持ちですよね。
続いては、理事長をはじめ、マンション管理組合各役員の役割や仕事を具体的に解説していきます。
マンション管理組合の役員は大変?理事長・各役員の仕事は?
マンション管理組合の役員構成、役職ごとの役割や仕事を具体的に解説していきます。
多くのマンション管理組合では、役員の就任期間は「1~2年」。
役員構成は下記の通りです。
仕事と書いたが、給料や手当はふつう出ん!
わ、わかってましたよ(汗)
面倒かどうか、断るかどうかと考える前に、役員の役割や仕事を知ることから始めてみて下さい。
理事長とは?
理事長とは、その名の通りマンション管理組合のリーダーであり、役員のトップです。
毎年1回開催する定期総会の議長を務めたり、役員が集まる理事会を招集したりする役割。
そして、マンション管理組合の代表者として管理組合の印鑑を保有し、工事等の注文書や管理組合の運営書類に署名捺印する仕事もあります。
積極的にマンションの維持管理に関わりたい人にはメリット。
ただ、管理組合のリーダーという肩書きから、何となく責任の重さが際立ち、大変そうな印象。
「やりたくない…」「断る方が…」と気持ちの面で面倒と感じる方が多いでしょう。
管理会社のサポートがあるから、思ったほど大変ではないんじゃがな
副理事長とは?
副理事長とは、その名の通り理事長の補佐役をする役員です。
理事長が事情によって理事会や総会等に出席できない場合には、理事長の代行として役割を担います。
マンションの規模にもよりますが、理事長にトラブルが無ければ、副理事長が特別に何かの役割を担うことはありません。
会計理事とは?
会計理事とは、主にマンション住人から集める管理費や修繕積立金の流れに問題が無いかを確認する役員です。
難しそうで正直なところ一番面倒な役割に思われます。
ただ、多くのマンションでは出納業務を管理会社に委託しているため、具体的な仕事は少ないでしょう。
数字は苦手です~
監事とは?
監事とは、理事長や各役員が集まる理事会活動のお目付け役です。
会社における監査役と同じ役割があります。
理事会が正常に稼働しているか、お金を横領していないか、などを確認して、問題があればマンション住人を集めた臨時総会を開催する権利があります。
問題が無い場合でも、その結果を年1回の通常総会で報告しなければいけません。
こう書くと、とても面倒な役割に思えるかもしれません。
ただ、他の役員と同様、理事会活動は管理会社がサポートしているので、そこまで業務は多くありません。
その他の役割とは?
マンションの規模が大きくなるにつれて、役員の数や役職も増えていきます。
- 防災理事:防災を担う
- 修繕担当理事:修繕を担う
- 植栽担当理事:植栽管理を担う
- 広報理事:管理組合ニュースなどを発行する
- 自治会担当理事:地域と付き合う
など、マンションによって多彩な役職があります。
自治会活動が活発な地域では、理事会よりも自治会の会合が多く、自治会担当理事の方が大変で面倒なこともあります。
あなたのマンションで、どの役職がどのような活動を担っているのかを知るためには、毎年の総会資料に目を通したり、管理会社や管理人さんへ聞いてみるのがいいでしょう。
以上、マンション管理組合の主な役員構成を解説しました。
マンションの管理組合って、なんか会社みたいですね
マンションの維持管理にあたり「管理組合」「役員」が必要なことが、イメージできましたか?
イメージができていくにつれて、
「大変そう…」
「やりたくない…」
「めんどくさい…」
などの声がさらに聞こえてきそうですが(汗)
では、理事長や役員は断ることができるのでしょうか?
続けて解説していきます。
マンション管理組合の理事長や役員を断るとどうなる?
改めて、
「マンション管理組合の理事長・役員は辞退や拒否はできますが、基本的に断るべきではありません。」
多くのマンションにおいて、管理組合の役員は「輪番制」。
過去に役員就任履歴の無い住戸からランダムで選ばれるような仕組みになっています。
輪番制の場合は、役員就任を断ると次の方へ役員が回ります。
輪番は、管理会社や管理人に聞けば、簡単に知ることができるため、誰かが断るとその事実が多くの住人に伝わります。
B:「…やりたくないのは皆一緒なのに(怒)」
なんて、風評がたったらマンションに住みづらくなるじゃろ
…考えただけでゾッとします
賃貸ならまだしも、購入したマンションで住みづらくなるのは避けたいですね
うざい…やりたくない…と感じる住人が多い中で、公平に回ってくる役員。
よっぽどの理由がない限り、断るのはやめた方がいいでしょう。
例外は?どんな状況でも役員を断ることはできない?
もちろん例外はあります。
正当な理由がある場合は、役員を断ることも致し方ないでしょう。
例えば、身体上の都合により、理事会や総会等を運営できない、参加できないなどです。
むしろ、マンション管理組合の職務をまっとうできないことが明らかな場合は、逆に断るべきでしょう。
また、所有者がマンションに住んでいない場合です。
マンションのルールである管理規約には、「外部に住んでいる区分所有者は役員には就任できない」などの条件が定められていることが多いです。
マンションを所有したまま、外部へ転居する予定(転勤等)が決まっている場合、役員を断ることができる可能性はあります。
役員はいいけど理事長はやりたくない場合は?
役員の内、副理事長、会計理事、監事等はやってもいいけど、理事長だけは拒否したい人も多いでしょう。
結論から言うと、
「これもできるかぎり断るべきではありません。」
は~やっぱり断るのは良くないんだ
私は理事長なんて器じゃないんだけど…
心配せんでも、管理会社が全面的にサポートしてくれるぞ
マンションによってはほとんどすることがない場合も多いの~
多くのマンション管理組合では、年1回の総会にあわせて役員が決まり、総会の後に理事長や副理事長等の役職を決めていきます。
役員に就任した住人のうち、誰かが理事長を率先して引き受けてくれれば、そこで理事長が決まります。
ただ、役員全員が「理事長はやりたくない…」とうつむいた姿勢をしていると、くじ引きなどで理事長を決めることになります。
く…くじ引きで決めるんですか(驚)
公平な抽選じゃ!
理事長を引いたら諦めて引き受けるしかないの~
就任後、やはりどうしても理事長を辞退したい場合、やむを得ず副理事長が代行する流れになります。
ただ、同じマンション内です。
副理事長と顔を合わせたりすると、とても気まずいでしょうね。
まぁ、理事長をやりたくない気持ちを他の住人に伝えることまではいいとしましょう。
面倒な気持ちはみんな同じですから。
しかし、最終的にやらざるを得ない場合は、いさぎよく受け入れた方が後々を考えると良い判断です。
詳細はわかったかの~
役員をやりたくない、仕事や子育てが忙しいなどの理由で拒否してはいかんということじゃ
なんとか全体像を理解できました
他の住人さんと良い関係を築いていく上でも、断るのはNGですね
では、役員や理事長を断ることのデメリットを具体的にまとめとこうかの~
マンション管理組合の役員や理事長を断るデメリット[3つ]
マンション管理組合の役員や理事長を断ることで起こるデメリットを解説していきます。
具体的なデメリットは以下の3つです。
1.他のマンション住人の反感を買う
役員を断る一番のデメリットは、
『他のマンション住人の反感を買う』ことです。
他の住人も役員をやりたくないと思っている中、理解できない理由で拒否している住戸があるとどうでしょう。
反感を買うのは当然のことです。
後悔してあとから引き受けても、一度できた溝はなかなか埋まらないものです。
自分勝手、非協力的など、悪い印象だけが残ります。
また、マンションのコミュニティから距離を置く状況にもなりかねません。
窮屈な生活にストレスを感じ、場合によっては売却を考えてしまうこともあるでしょう。
2.面倒な時期に役員が回ってくる
続いてのデメリットは、
『面倒な時期に役員が回ってくる』ことです。
安易な理由で役員を断ると、他のマンション住人からのイメージは悪くなります。
その結果、「できるだけ面倒な時期の役員を、断る住戸に任せよう」という気持ちを抱かれても不思議ではありません。
特に十数年に1回の大規模修繕の時期は、役員が集まる理事会の回数が増えて、なにかと手間が多くなります。
断るとそのような面倒な時期に、役員さらには理事長に、半強制的に選任される可能性も高くなります。
3.売却時の問題を作ってしまう
役員を断る最後のデメリットは、
『売却時の問題を作ってしまう』ことです。
役員を断る、または断り続けると、売って次に入居する住人が選任されやすいのは必然です。
ここでの売却時の問題とは、「役員を断っている事実を隠したまま売却するのか?」ということです。
マンションの購入者は、管理組合という組織について深い知識はありません。
普通の人ならやはり面倒だと思うものです。
そこで、断っている事実を、入居後に初めて他住人から聞いた購入者はどんな気持ちでしょうか?
断っていたことが原因ですぐ回ってきたと知ったらどんな気持ちでしょうか?
腹が立ちますね
なんかマイナスからスタートする感じです…
引き渡し後、購入者の性格によってはトラブルになるじゃろうな
一方で、事前に役員を断っている事実を伝えておく場合でも、別の問題が生じます。
購入希望者が「入居後すぐに役員をやらされることを心配する可能性」です。
また、良好な関係を築きたい購入者にとっては、「悪い印象のついた住戸はそもそも検討しない可能性」もゼロではありません。
いずれもマンション売却においては、あきらかにマイナスになります。
以上、マンション管理組合の役員や理事長を断ることで起こるデメリットを解説しました。
良好な管理組合がマンションに与えるメリットは?知っても面倒って言う?
良好な管理組合が与えるメリットとは、
「マンションの資産価値の維持と向上」です。
「資産価値の高いマンション=良好な維持管理が整ったマンション」と語る専門家も多いです。
おそらくマンション売買に携わる9割以上の不動産会社も同意見でしょう。
マンションの管理組合の役員は、理事会に時間が割かれ、責任を感じる役職を担ったり、面倒なのはわかります。
断ることができるのか、と後向きな気持ちになるのもわかります。
ただ、前向きに取り組むことで、「マンションの資産価値に良い影響を与える活動」につながります。
例えば、
- 共用エントランスの美化
- 共用庭の植栽を美化
- オートロックや防犯カメラの設置
- 宅配ボックスの設置&増設
- AED(自動体外式除細動器)の設置
- 民泊の禁止対策
- ペットの制限を見直し
など、アイデア次第ではまだまだ考えられます。
同じ築年数のマンションでも、上記の取り組みが「されているorされていない」では、価値に影響せんか?
されている方が「住みたい!」って思います
されている方が、相場より高い価格で売れると思います
また、コストの削減も「マンションの資産価値の維持と向上」に良い影響をもたらします。
例えば、全50戸のマンションで大規模修繕を実施する時です。
管理会社の協力の元、6,500万円の工事費用に対して前向きな削減に取り組み、5,800万円まで値下げできたとしましょう。
差額700万円を50戸で割れば、各戸当たり14万円。
これを大規模修繕の周期である12年間で割れば、1戸あたり年間約11,600円の支出を削減したことを意味します。
面倒な管理組合活動でも、毎月のランニングコストである修繕積立金を減らせる活動と捉えればどうでしょう。
日々の生活に直結する活動として、前向きに捉える人もいるのではないでしょうか。
マンションの修繕積立金や管理費は将来値上がりすることが多いんじゃ
つまり、コスト削減への取り組みは、その値上がりリスクを抑えるってことですね
そうじゃ!
修繕積立金や管理費が月1,000円でも上がったら嫌じゃろう
そして、基本的な部分です。
- 植栽が枯れたまま
- ゴミ置場が汚れていて臭い
- 掲示板の貼り紙がぐちゃぐちゃ
など、マンションの見える部分に落ち度があるとどうでしょう。
室内はいくら綺麗にしていようとも、マンション全体の資産価値の低下につながっていきます。
最後に、マンション特有の定期的なコミュニティイベント。
これらが開催されていると、購入検討者はマンションへ馴染みやすいと感じるものです。
マンションの将来に明るい未来を感じて、それが購入のきっかけになり、資産価値の向上にも一役買うことが多々あります。
以上、良好な管理組合が与えるメリットは、「マンションの資産価値の維持と向上」である理由などを解説しました。
1人でも多くのマンション住人がこの意識を持っていると、日本のマンション未来は本当に明るいですね。
まとめ
今回の不動産とーくは『マンションの管理組合がうざい…面倒な理事会や役員は断る事できる?』と題して、下記の項目を解説しました。
さて、今日のテーマはどうじゃったかの~?
マンション管理組合の役員や理事長。
面倒な思いから「断る」ことを考える気持ちはとてもよくわかります。
ただし、分譲マンションを購入した以上は避けらないものです。
大切なあなたの資産を守る期間限定の活動と割り切って、積極的に取り組むことをおすすめします。
管理会社のサポートがありますので、実際は「なんだこんなものか」と思う人も多いですからね。
以上、『マンションの管理組合がうざい…面倒な理事会や役員は断る事できる?』でした。
今回の記事はタメになりましたか?
よかったよと思ったら、みんなにシェアしてもらえると嬉しいです♪
よければ他の記事もチェックしてみて下さいね!