「子どもの発熱で頼れる身内がいない」
「実家の近くに住めばよかったと今さら思う」
家を買った当時は、それが家族にとって最良の選択だったはずです。
ところが数年が過ぎ、親の年齢が上がるにつれて、距離の重さがじわじわ効いてくる。同じ気持ちを抱えたまま暮らしている方は、決してあなただけではありません。
それでも多くの方は「今さら動けない」と考えて、そのまま何年も過ごします。
ただ、迷っている間にも、住まいを選び直せる条件は少しずつ狭まっていきます。
子どもの進学、住宅ローンの返済期間、そして親の状況。どれも、こちらの都合を待ってはくれません。
この記事では、不動産×住宅業界のプロが『【体験談】実家の近くに住めばよかった…榊原さんが9年後に住み替えた話』と題して紹介します。
登場するのは、9年前に買った新築一戸建てを手放す決断をした、愛知県在住の榊原さん(44歳)。
きれいごとだけでなく、迷った時間や失ったものまで率直に語ってもらいました。
- 西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)

-
不動産×住宅業界20年以上。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。運営メディアは累計120万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
【この記事の取材・確認方法】
この記事は、実体験者への取材・ヒアリング内容をもとに作成しました。不動産の種類や住まいの状況、当時の悩み、検討した選択肢、実際に取った行動、その後の暮らしの変化などを確認したうえで、個人が特定されないよう一部情報を調整。実務・専門的な判断を要する箇所は、不動産コンサルタントの執筆者・西田が補足。※体験談は個別事情に基づく内容であり、同じ結果を保証するものではありません。
【体験談】実家の近くに住めばよかった…9年後に家を売り親元へ住み替えた理由と今

「実家の近くに住めばよかった」と感じながら、それでも今の家に住み続けている方は少なくありません。
早速、その後悔と正面から向き合い、9年前に買った新築一戸建てを売って親元近くへ住み替えた、愛知県の榊原さんにお話を伺います。
- 榊原さん(仮名)

-
【年齢】44歳【居住地】愛知県
【家族構成】夫・中学1年生の長男・小学4年生の長女の4人家族
9年前、夫の通勤と住宅価格を優先して岐阜県に新築戸建てを購入した榊原さん。両親が暮らす岡崎市までは車で約1時間半だったが、当時は元気だったため距離を深く気にしていなかった。ところが父の入院や母の免許返納をきっかけに、通院の付き添いや買い物のため頻繁に往復する生活に。子育てでも頼れる身内が近くにおらず、「実家の近くに住めばよかった」と後悔するようになった。夫婦で約8カ月話し合い、住宅ローンが残る自宅を売却して、両親宅から車で約12分の中古マンションへ住み替え。現在は急な用事にも対応しやすくなり、家族全体に余裕が生まれたと感じている。
プロ20年 榊原さん、本日は
お時間をいただき
ありがとうございます
榊原さん 同じ場所で立ち止まっている方に
何かひとつでも渡せたら
うれしいです
榊原さんは44歳。
会社員のご主人と、中学1年生の長男、小学4年生の長女との4人暮らしです。
9年前に岐阜県で新築一戸建てを購入し、ご両親が暮らす岡崎市までは高速道路を使って車で約1時間半の距離でした。
ところが数年後、父親の入院と母親の免許返納が重なり、生活は一気に変わります。
夫婦で約8カ月話し合った末、住宅ローンが残る自宅を売却し、今は親元まで車で約12分の場所で暮らしています。
- 9年前、実家から離れた場所に家を買った決め手は?
- 「実家の近くに住めばよかった」と後悔したきっかけは?
- 引っ越さずに今の家で暮らし続ける方法も考えた?
- 実家近くへの住み替えを決めるまで、夫婦で何を話し合った?
- 実家近くへ住み替えて、家族の暮らしはどう変わった?
- 今、実家の近くに住めばよかったと後悔している人へ伝えたいこと
プロ20年 売却も住み替えも
一度きりの大きな決断なので
遠慮なく細かく伺いますね
榊原さん どうぞ何でも聞いてください
うまくいかなかった部分も
そのままお話しします
後悔の中身と、そこから何を比べて決断したのか。順番に伺っていきます。
9年前、実家から離れた場所に家を買った決め手は?
まずは、9年前の家探しから振り返ってもらいました。
プロ20年 当時、岐阜県で新築を
選ばれた理由は
どのあたりに?
榊原さん 夫の通勤と価格ですね
名古屋まで通えて予算に収まる
場所を探していました
購入したのは3,280万円の新築一戸建てで、頭金は300万円を用意しました。
同じ広さの家を名古屋市内で探すと予算を大きく超えてしまい、比較を重ねた末に岐阜県へ範囲を広げたそうです。
決め手になったのは、次の3点でした。
- 夫が名古屋市内へ通勤でき、転職を考えずに済む
- 同じ予算で庭付きの4LDKに届き、子ども部屋を2つ確保できる
- 同世代の家族が多く、子どもに友達ができやすい
プロ20年 通勤時間と価格のバランスで
エリアを決める方は
本当に多いですよ
一方、ご両親が暮らす岡崎市までは車で約1時間半。
当時は父が68歳、母が65歳で、2人とも自分で車を運転してどこへでも出かけていました。
榊原さん 両親が元気だったので
1時間半が遠いという感覚が
まったくなかったんです
正直なところ、親の年齢や10年後の暮らしは、家探しの検討項目にすら入っていなかったといいます。
プロ20年 家は20年30年と住む前提なので
今の家族の姿だけでなく
先の変化も一緒に置いてみたいですね
榊原さん そこを飛ばしたまま
契約まで進んでしまったのが
一番の反省点です
今の親の元気さを基準に距離を決めてしまったこと。
それが、のちの後悔につながっていきます。
「実家の近くに住めばよかった」と後悔したきっかけは?
変化が訪れたのは、家を買って数年が経った頃でした。
父親が脳梗塞で入院し、母親も70代になって運転免許を返納します。
プロ20年 免許返納は、親御さんの
移動手段がまるごと
子ども側に移る出来事なんです
榊原さん はい、2つが続いた瞬間に
実家が急に遠く感じました
何をするにも車が必要で
それまで年に数回だった帰省が、月に3~4回の往復に変わりました。
実際にどんな用事が増えたのか、当時の状況を整理してもらいます。
| 実家で必要になった用事 | 1回あたりの負担 |
|---|---|
| 入院中の面会と退院後の通院の付き添い | 移動だけで往復3時間+待ち時間 |
| 食材や日用品のまとめ買い | 半日がかりで週末がつぶれる |
| 役所や金融機関での手続き | 平日限定のため有給休暇が必要 |
| 電球交換や庭の草取りなど細かな用事 | そのためだけに往復するのは難しい |
高速代とガソリン代を合わせると、1回の往復で5,000円前後。
プロ20年 距離が生むのは時間だけでなく
交通費や体力の消耗も
じわじわ効いてきますよね
榊原さん 家に帰ると夕方で
そこから夕飯と洗濯なので
土日が消えていく感じでした
つらかったのは、用事が終わっても「次はいつ行けるか」を常に考え続けなければならないことだったといいます。
負担は、子育ての場面でも表面化しました。
長女が低学年の頃、平日の朝に急な発熱で保育や登校ができない日が何度もありました。
プロ20年 お子さんの急な発熱のときは
どなたかに頼れましたか?
榊原さん 近くに身内がいないので
毎回わたしが有給を使って
仕事を止めていました
周囲の友人が祖父母に送迎や預かりを頼んでいる姿を見るたび、胸の奥がずしんと重くなったそうです。
榊原さん 自分の選択の結果だと
わかっていても
うらやましかったですね
プロ20年 比べたくないのに
比べてしまう気持ちは
自然なことだと思います
親のことと子どものこと、その両方が同じ時期に重なったとき、実家の近くに住めばよかったという後悔がはっきり形になったと榊原さんは話します。
引っ越さずに今の家で暮らし続ける方法も考えた?
とはいえ、いきなり住み替えを決めたわけではありません。
まずは、今の家に住み続けたまま解決できないかを一つずつ検討したそうです。
プロ20年 せっかく建てた家ですし
まず今の場所で何とかできないか
考えるのが普通ですよね
榊原さん 家を売る発想が出るまで
2カ月ほどかかりました
思いつく方法は一通り並べたので
検討した方法と、見送った理由は次の通りです。
| 検討した方法 | 見送った理由 |
|---|---|
| 両親に岐阜へ来てもらう | 通い慣れた病院や長年の近所付き合いを手放したくないと両親が希望した |
| 今まで通り週末に通い続ける | 往復3時間の移動が続き、家族全員の休みが削られる |
| 介護保険サービスや自治体の支援を使う | 申請や打ち合わせ、立ち会いでは結局こちらが実家へ行く必要がある |
| 実家近くに小さな賃貸を借りて二拠点にする | 住宅ローンと家賃の二重払いになり、家計が成り立たない |
| 在宅勤務を増やして通う回数を確保する | 働き方は変えられても、実家までの距離そのものは変わらない |
プロ20年 サービスを使っても
家族が動く場面は残るので
距離の問題は根深いですよね
榊原さん 手続きの説明を聞くだけでも
平日に呼ばれるので
そのたびに往復でした
支援制度を組み合わせれば減らせる負担もありました。
それでも、夜間や早朝に何かあってもすぐ駆けつけられないという不安だけは消えなかったといいます。
そこで初めて、住まいを動かすという選択肢が夫婦の話題に上ります。
榊原さん 夫が「家のほうを動かす手も
あるんじゃない?」と
言ってくれたのが転機でした
プロ20年 住まいは変えられない前提を
一度外してみると
選択肢は一気に広がりますね
今の家に住み続けることを前提から外したことで、話し合いが前へ動き出したそうです。
実家近くへの住み替えを決めるまで、夫婦で何を話し合った?
ここからは、決断に至るまでの約8カ月について詳しく伺います。
住宅ローンは、当時およそ2,300万円が残っていました。
プロ20年 ローンが残る家を売るのは
どなたも不安になります
何が一番心配でしたか?
榊原さん 売った金額でローンが
返しきれなかったらどうしよう
そこが一番怖かったです
夫婦で書き出して比べたのは、次の4つでした。
- 自宅がいくらで売れて、ローンを返しきれるか
- 子ども2人の転校をどの時期に合わせるか
- 夫の通勤時間が今より延びないか
- 住み替え後の毎月の返済額がいくらになるか
プロ20年 売れる金額がわからないままだと
話が前に進みませんよね
査定額はどのように確認を?
榊原さん ネットの一括査定を使って
4社にまとめて頼みました
1社ずつ回る時間がなくて
入力は一度だけで済み、複数社の見立てを横に並べて比べられたのが助かったといいます。
実際に届いた査定結果が、こちらです。
| 会社 | 査定額 | 提案内容と印象 |
|---|---|---|
| A社(大手) | 2,620万円 | 問い合わせの多さを強調するが、金額の根拠となる事例の説明が少なかった |
| B社(大手) | 2,520万円 | 半径2km以内の成約事例をもとに算出し、住み替えの資金計画まで示してくれた |
| C社(地域密着) | 2,450万円 | 学区の人気を評価。内覧前に整えるべき箇所を具体的に助言してくれた |
| D社(地域密着) | 2,380万円 | 早く決めることを優先し、相場より控えめな価格設定を提案してきた |
4社の査定額には240万円の開きがありました。
プロ20年 この開きがあるからこそ
1社の金額だけで決めると
判断を誤りやすいんですよね
榊原さん 一番高い会社に惹かれましたが
根拠を聞いても曖昧で
逆に不安になりました
榊原さんが選んだのは、金額が2番目だったB社。
事例を示しながら価格の理由を説明し、売却と購入の時期をどう重ねるかまで整理してくれた点が決め手になりました。
プロ20年 住み替えは売りと買いの
段取りが命なので
そこを描ける担当かは大事ですね
売り出し価格は2,580万円に設定し、内覧を重ねながら約3カ月で買主が決まりました。
成約額は2,480万円。
ただし、仲介手数料などの諸費用を差し引くと、ローンを完済して手元に残った金額はごくわずかでした。
榊原さん 残らなかったのは
正直こたえましたが
ローンが消えたのは大きかったです
プロ20年 残債を残さず売り切れた形なので
次のローンも組みやすくなります
そこは大きな前進だと思いますよ
住み替え先に選んだのは、JR沿線にある2,180万円の中古マンションです。
最寄り駅から名古屋までは快速で30分ほどで、夫の通勤時間はむしろ短くなりました。
気になる毎月の支払いは、住宅ローンの返済額が以前より下がった一方、管理費と修繕積立金、駐車場代が新たに加わります。
榊原さん 合計するとほぼ同じでした
そこが読めていなかったら
決断できなかったと思います
プロ20年 戸建てとマンションは
毎月かかるお金の中身が違うので
必ず総額で比べたいですね
なお転居の時期は、長男が小学校を卒業するタイミングに合わせました。
学年の区切りに合わせられるかどうかで、子どもの負担は大きく変わると榊原さんは感じたそうです。
一括査定なら、約60秒で依頼できる『スーモ売却(無料)』が使いやすいです。
榊原さんのように数百万円の開きが出ることもあるため、1社だけの金額で判断せずに済みます。≫今の家の査定額を比べる(無料)
※査定後に売るかどうかは自由です
※面積はおおよそでも進められます
実家近くへ住み替えて、家族の暮らしはどう変わった?
住み替えから、まもなく1年。
日々の暮らしの何がどう変わったのかを、場面ごとに挙げてもらいました。
| 住み替え前 | 住み替え後 | |
|---|---|---|
| 実家までの移動 | 高速道路で片道約1時間半 | 車で片道約12分 |
| 通院の付き添い | 丸1日を空ける必要がある | 午前中だけで済む日が増えた |
| 買い物の手伝い | 週末にまとめ買いで対応 | 仕事帰りに立ち寄って届けられる |
| 子どもの急な発熱 | 毎回、有給休暇を取得 | 祖父母に頼める日ができた |
| 実家へ行く日の決め方 | 週末に予定をまとめて組む | 必要が出た日にそのまま向かえる |
プロ20年 往復3時間が24分になると
1日の使い方そのものが
変わってきますよね
榊原さん 「ちょっと寄るね」が
言えるようになったのが
一番大きいです
仕事の面でも、有給休暇の残り日数を気にせず働けるようになりました。
変化は、子どもたちにもあらわれました。
長男は部活の帰りに実家へ立ち寄り、長女は祖母と一緒に台所に立つようになったそうです。
榊原さん 娘が祖母から
卵焼きの作り方を教わって
にこにこ帰ってきました
プロ20年 世代を越えた時間は
距離が近いからこそ
自然に生まれるものですね
一方で、手放したものもあります。
- 庭がなくなり、家族で続けていた家庭菜園をあきらめることになった
- 階下への生活音が気になり、子どもに注意する回数が増えた
- 長女は転校となり、仲の良かった友達と離れる寂しさがあった
榊原さん 娘は最初の1カ月
表情が硬くて
胸が痛かったです
プロ20年 住み替えは得るものと
手放すものが必ずあるので
そこも含めて共有したいですね
それでも今は、親のことで気持ちが張り詰める時間が減ったと感じているそうです。
今、実家の近くに住めばよかったと後悔している人へ伝えたいこと
最後に、同じ後悔を抱えている方へのアドバイスを伺いました。
プロ20年 動くべきか迷っている方に
まず何から始めるといいか
教えてもらえますか?
榊原さん 気持ちで決めずに
まず紙に書き出すことを
おすすめしたいですね
榊原さんが「先に整理しておけばよかった」と話すのは、次の5つです。
- 親の生活で今後困りそうなことを書き出し、家族で共有する
- 実家へ通う回数と時間・交通費を1カ月分記録し、負担を数字にする
- 住宅ローンの残債と自宅のおおよその価値を確認し、売れる可能性を知る
- 候補地で通勤と通学が成り立つかを調べ、家族全員の生活を壊さないか確かめる
- それぞれの譲れない条件を出し合い、優先順位をつける
プロ20年 通う負担を数字にすると
感覚だけで悩んでいた部分が
はっきり見えてきますね
榊原さん 月に2万円近く
交通費が出ていると知って
夫の反応が変わりました
中でも、榊原さんが強く勧めるのが3番目の確認です。
残債と自宅の価値がわかれば、動けるかどうかが数字で判断できるようになります。
榊原さん 売らない場合でも
自分の家の価値を知るだけで
考え方が落ち着きました
プロ20年 選択肢を持ったうえで
今の家に住み続けるのも
立派な判断ですものね
そして榊原さんは、焦って結論を出す必要はないとも話します。
榊原さん わが家も8カ月かけました
迷った時間は
無駄ではなかったです
最後に、同じ悩みを抱えている方へメッセージをいただきました。
「実家の近くに住めばよかったと思う気持ちは、家族を大切に思っているからこそ出てくるものだと思います。今の住まいを続ける前提を一度だけ外して考えてみると、思っていたより道はありますよ」
プロ20年 本日は率直な体験談を
聞かせていただき
ありがとうございました!
榊原さん 迷っている方の背中を
そっと押せていたら
うれしいです
以上、実家の近くに住めばよかったという後悔から、9年住んだ家を売って親元へ住み替えた榊原さんの体験談を、インタビュー形式で紹介しました。
話し合っている間も、親の状況は少しずつ変わっていきます。
プロ20年 売却の準備には数カ月かかるので
先に相場を知っておくと
動ける時期の幅が広がりますね
だからこそ、決断より先に自宅の価値を確かめておくと安心です。
実際に複数社の査定額を比較するなら、60秒でまとめて依頼できるスーモの一括査定が便利です。
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【見直しチェック】実家の近くへ住み替える前に整理したい6つのこと

榊原さんは「実家の近くに住めばよかった」と感じてから、すぐに家を売ったわけではありません。
親の生活、自宅から通う負担、住宅ローン、子どもの転校などを約8カ月かけて整理し、家族にとって納得できる形を探しました。
同じ後悔があっても、住み替えたほうがいい条件は家庭ごとに異なります。
まずは、あなたの場合に何が確認できていて、何がまだ曖昧なのかを見てみてください。
プロ20年 後悔の強さだけではなく
暮らしの条件を並べると
今の家に住み続ける道も含めて
考えやすくなりますね
チェックが付かない項目があっても、住み替えに向いていないという意味ではありません。
まだ判断材料を集める余地がある項目として、順番に整理していけば大丈夫です。
親のこれからの生活で、家族の支えが必要になりそうな場面を整理できていますか?
榊原さんが家を買った当時、ご両親は父68歳、母65歳で、2人とも車を運転して自由に出かけていました。
そのため、実家まで車で約1時間半でも遠いとは感じず、親の年齢や10年後の暮らしは家探しの検討項目に入っていませんでした。
数年後、父親の入院と母親の免許返納が重なり、通院や買い物など家族の支えが必要な場面が増えます。
プロ20年 今は元気でも
移動や通院の状況が変わると
実家との距離の感じ方まで
大きく変わりますね
確認したいのは、親が何歳になったら住み替えるかではなく、今後どんな場面で誰の支えが必要になりそうかです。
通院、買い物、各種手続きなどを家族だけで支える必要があるのか、親自身で続けられるのかによって、実家との適切な距離は変わってくるでしょう。
実家へ通う回数・時間・交通費・休暇の負担を具体的に把握できていますか?
榊原さんは以前、実家へ帰るのは年に数回でしたが、親の状況が変わってからは月3~4回になりました。
片道約1時間半、往復では約3時間かかり、高速代とガソリン代も1往復5,000円前後だったそうです。
通院の付き添いや平日の手続きでは、有給休暇を使う場面もありました。
プロ20年 通う負担は
距離だけを見るより
時間とお金と休みまで
並べると見えやすいですね
榊原さんも記録してみると、交通費だけで月2万円近くかかっているとわかり、ご主人の反応が変わったと話しています。
あなたも実家へ通っているなら、回数だけでなく、移動時間、交通費、仕事を休む頻度まで整理すると、今の距離を維持できるか考えやすくなります。
今の家に住み続けながら負担を減らす方法を比較できていますか?
榊原さん夫婦も、最初から住み替えを選んだわけではなく、家を売る発想が出るまで約2カ月かかりました。
両親に来てもらう、週末に通い続ける、支援サービスを使う、二拠点生活をする、在宅勤務を増やすなど、今の家を残したままできる方法を一通り検討しています。
たとえば両親に岐阜へ来てもらう案は、通い慣れた病院や長年の近所付き合いを手放したくないという両親の希望から見送りました。
プロ20年 住み替えだけを
先に答えにせず
今の家でできる方法も
横に並べたいですね
一方で、あなたの家庭では支援サービスや兄弟姉妹との分担などによって、距離の負担を減らせるかもしれません。
現状維持で解決できる選択肢が残っているかまで確認してから比べると、「実家の近くに住めばよかった」という気持ちだけに引っ張られにくくなります。
自宅の住宅ローン残債と売却後に残る金額を確認できていますか?
榊原さんが住み替えを考えた時、自宅には約2,300万円の住宅ローンが残っていました。
売却額でローンを返しきれないことを心配し、まず自宅の価格を確認したところ、4社の査定額は2,380万円~2,620万円と240万円の差がありました。
最終的には2,480万円で成約し、諸費用を差し引くと手元に残る金額はごくわずかでしたが、住宅ローンは完済できています。
プロ20年 家を動かせるかは
気持ちだけでなく
残債と売却後のお金を
並べると判断しやすいですね
自宅の価格だけを確認しても、実際に住み替えられるかは判断できません。
住宅ローン残債と売却にかかる諸費用まで含めて、売ったあとに資金がどの程度残るのかを整理できているか確認してみてください。
実家近くで通勤・通学と毎月の住居費が成り立つか確認できていますか?
実家の近くへ移れば親との距離は縮まりますが、家族全員の生活条件まで良くなるとは限りません。
榊原さん夫婦は、子ども2人の転校時期、ご主人の通勤時間、住み替え後の毎月の返済額を合わせて確認しました。
結果として2,180万円の中古マンションを選び、ご主人の名古屋までの通勤は快速で約30分と以前より短くなっています。
プロ20年 親との距離だけでなく
仕事や学校まで含めて
家族全体で無理がないかを
見たいところですね
住宅ローンの返済額は下がった一方、管理費、修繕積立金、駐車場代が加わり、毎月の支払い総額は以前とほぼ同じでした。
また、転居は長男の小学校卒業に合わせており、通勤・通学・住居費を一緒に確認できるかが、実家近くで暮らせるかを左右します。
住み替えで得るものと手放すものを家族で共有できていますか?
榊原さん一家は、実家まで片道約1時間半だった生活から、車で約12分の場所へ住み替えました。
通院の付き添いが午前中だけで済む日が増え、買い物も仕事帰りに届けられるなど、親を支える時間の負担は軽くなりました。
一方で、庭がなくなって家庭菜園をあきらめ、マンションでは階下への生活音も気になるようになっています。
プロ20年 住み替えでは
便利になる部分だけでなく
手放す暮らしまで共有すると
納得感が変わりますね
さらに長女は転校で仲の良かった友達と離れ、最初の1カ月は表情が硬かったと榊原さんは振り返っています。
実家へ近づけばすべての悩みがなくなるわけではありません。
家族それぞれが大切にしたい暮らしや、変わることで負担になることまで出し合い、何を優先する家庭なのかを共有できているか確認してみてください。
- チェックが付かなかった項目は、まだ確認できていない判断材料として整理する
- 親の生活や通う負担、自宅の売却資金など、判断への影響が大きい未確認項目から確かめる
- 必要な情報が揃ってから、現状維持と実家近くへの住み替えを同じ条件で比べる
実家の近くに住むために…売って住み替えを迷う人へ

実家の近くに住むメリットを痛感して、後悔している人は本当に多いです。
今後の選択は自由ですが、この先も後悔をかかえて過ごすくらいなら「住み替え」も間違いではありません。
「実家の近くに住めばよかった…」
「高く売れるなら近くに引っ越そうかな」
もしあなたも同じ気持ちなら、一度は無料査定に出してみることをおすすめします。
査定額を確認した結果、
- 希望以上で売れるなら
→具体的に売却を検討する - 希望未満でしか売れないなら
→現時点では持ち続ける ※他の方法を検討
プロ20年 実際にこうやって
判断する方が多いです
査定に出しても必ず売る必要はないので、まずは「いくらで売れるのか?」を知ることから始めてみて下さい。
なお、実際の査定では各不動産会社で数百万円の差が出るケースもあるため、1社だけの金額では判断しきれません。
複数社の比較には『スーモ売却(無料)』一括査定がおすすめです。
選択時に各社の売却実績数を確認できるので、どの会社に査定を依頼するか迷わずに進められます。
※面積はおおよそで大丈夫です
※査定後に売るかどうかは自由
【専門家が分析】榊原さんが9年後に住み替えられた3つの理由

榊原さんの住み替えは、単に「実家の近くが便利だから」という理由だけで決まったわけではありません。
9年前には問題にならなかった距離が、父親の入院と母親の免許返納によって、月3~4回の往復が必要な生活負担へ変わりました。
プロ20年 家を買った時点では
間違いとはいえません
家族の条件が変われば
住まいの答えも変わります
さらに、今の戸建てを売れる見通しや夫の通勤、子どもの転校時期まで1つずつ調整できたことで、住み替えを現実的な選択肢にできた点も重要です。
- 親が元気だった頃の「1時間半」が、生活変化で大きな負担へ変わった
- 残債を返せる見通しが立ち、住み替えを現実の選択肢にできた
- 実家への近さだけでなく、通勤・住居費・子どもの時期まで崩さなかった
この3点を深掘りすると、「実家の近くに住めばよかった」と感じた方が、榊原さんと同じように住み替えるべきとは限らない理由も見えてきます。
親が元気だった頃の「1時間半」が、生活変化で大きな負担へ変わった
戸建てを購入した当時、榊原さんの父親は68歳、母親は65歳で、2人とも車を運転して自由に出かけられる状態でした。
そのため、岡崎市の実家まで車で約1時間半でも遠いという感覚はなく、親との距離は家探しの検討項目にも入っていませんでした。
ところが、父親の入院と母親の免許返納が重なったことで、年に数回だった帰省が月3~4回へ増え、同じ「1時間半」でも負担の意味が大きく変わります。
通院の付き添いなら移動だけで往復3時間、買い物では週末の半日を使い、高速代とガソリン代は1回5,000円前後かかっていました。
プロ20年 実家までの距離は
時間だけでなく
用事の頻度が増えた時に
重さが見えてきます
ここで重要なのは、実家まで1時間半という距離そのものが悪かったわけではないことです。
「距離×必要になる用事の頻度×代わりに動ける手段」が変わったことで、暮らしとの両立が難しくなったと考えられます。
親自身が移動できる状態が続いていたり、日常の支援をほかの方法で補えたりすれば、同じ距離でも住み替えまで必要にならない家庭はあるでしょう。
一方、榊原さんの場合は子どもの急な発熱でも近くに頼れる身内がおらず、有給休暇を使う場面が重なっていました。
プロ20年 親のことだけなら
今の家で対応できても
子育てや仕事まで重なると
判断は変わりやすいですね
つまり、「実家の近くに住めばよかった」という後悔の背景には、親との距離だけでなく、親・子ども・仕事の負担が同じ時期に重なったことがあったと読み取れます。
残債を返せる見通しが立ち、住み替えを現実の選択肢にできた
榊原さん夫婦が住み替えを考え始めても、すぐに決断できたわけではありません。
当時は住宅ローンが約2,300万円残っており、今の戸建てを売っても完済できない可能性への不安がありました。
そこで4社へ査定を依頼したところ、査定額は2,380万~2,620万円となり、会社によって240万円の開きが出ています。
| 資金面の事実 | 専門家として注目した点 |
|---|---|
| 住宅ローン残債は約2,300万円 | 売却代金などで完済できるかが住み替えの前提になった |
| 査定額は2,380万~2,620万円 | 1社の査定だけでは資金計画が大きく変わる可能性があった |
| 2,480万円で成約 | 諸費用を差し引くと手元に残る金額はごくわずかだった |
榊原さんが最も高い査定額の会社ではなく、成約事例や住み替えの資金計画まで説明した会社を選んだ点にも意味があります。
必要だったのは高い査定額ではなく、売却後まで見通せる金額の根拠だったからです。
プロ20年 査定額が高くても
その価格で売れなければ
住み替えの計画まで
崩れることがあります
原則として、住宅ローンが残る家を通常売却するには、売却時に残債を完済して抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
そのため、「査定額-ローン残債=自由に使えるお金」ではありません。
仲介手数料などの売却に伴う諸費用もあるため、実際の成約価格から何が差し引かれ、完済後にいくら残るのかまで考える必要があります。
プロ20年 残債と家の価格が
近いケースほど
売れた後に残る金額まで
分けて考えたいですね
榊原さんは最終的に2,480万円で売却し、諸費用を差し引いた手元資金はごくわずかだったものの、住宅ローンを完済できました。
もし売却代金などで残債を返しきれない状況だったなら、同じ「実家の近くに住みたい」という思いがあっても、住み替える時期や方法は変わっていた可能性があります。
実家への近さだけでなく、通勤・住居費・子どもの時期まで崩さなかった
榊原さんの決断で見逃せないのは、実家との距離を縮める代わりに、家族のほかの生活条件をすべて後回しにしなかったことです。
住み替え先は2,180万円の中古マンションで、実家まで車で約12分になった一方、最寄り駅から名古屋までは快速で約30分となり、ご主人の通勤時間はむしろ短くなりました。
また、住宅ローン返済額は下がりましたが、管理費・修繕積立金・駐車場代が加わったため、毎月の住居費全体では住み替え前とほぼ同じになっています。
プロ20年 実家へ近づくことだけを
最優先にすると
別の家族の負担が
増える場合もあります
転居時期を長男の小学校卒業に合わせたことも、約8カ月かけて話し合ったからこそできた調整でした。
それでも、庭や家庭菜園を手放し、マンションでは生活音に気を使う場面が増え、長女は仲の良かった友達と離れることになっています。
つまり、今回の住み替えは何も失わずに成功したのではなく、得る暮らしと手放す暮らしの両方を受け入れた決断だったわけです。
プロ20年 住み替えにはどうしても
良くなる部分と
変わってしまう部分が
一緒についてきます
条件が違い、実家近くへ移ることで通勤が大幅に長くなったり、住居費が家計を圧迫したり、子どもの生活への影響が大きかったりすれば、榊原さんと同じ結論が最善とは限りません。
実家との距離は大切な判断材料ですが、家族全体の暮らしが住み替え後も成り立つことまでそろって、初めて現実的な選択になります。
「実家の近くに住めばよかった」という後悔をこれからの暮らしへつなげるなら、近くへ移ること自体を答えにせず、今の家族にとって何を残し、何を変えるのかまで考えることが大切です。
以上、実家の近くへ住み替えた榊原さんの実体験をもとに、住み替えの判断を左右した3つの理由を専門家目線で解説しました。
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まとめ:実家との距離が負担なら、今の住まいを続ける前提から見直そう

今回の不動産とーくは『【体験談】実家の近くに住めばよかった…榊原さんが9年後に住み替えた話』と題して解説しました。
- 親の状況が変わると、実家との距離は制度や工夫だけでは埋めきれない
- 今の家に住み続ける方法を出し切ってから比べると、納得して決められる
- 残債と自宅の価値がわかれば、動くか留まるかを数字で判断できる
プロ20年 榊原さんの体験談は
今のあなたの状況と
重なる部分がありましたか?
実家の近くに住めばよかったという後悔は、家族を思う気持ちがあるからこそ生まれるものです。
だからこそ、その気持ちを責める必要はありません。
大切なのは、後悔を抱えたまま止まるのではなく、今の暮らしを一度並べ直してみることでしょう。
住まいは変えられないものではなく、家族の状況に合わせて選び直せるものです。
業界歴20年以上「不動産コンサル西田」のアドバイス
最後に、実家との距離で悩む方から相談を受けたときに、私が必ずお伝えしていることを3つ紹介します。
- 実家の隣ではなく、車で10~15分ほどの距離を検討する
- 兄弟姉妹がいる場合は、誰が何を担うかを先に共有しておく
- 親が元気なうちに、実家の将来をどうするか話しておく
1つ目は、近すぎる距離が原因で関係がぎくしゃくするケースを何度も見てきたからです。
適度な距離を保つほうが、親子とも気持ちよく続けられる傾向があります。
プロ20年 駆けつけられる距離と
生活が混ざらない距離
その両方を満たしたいですね
2つ目は、住まいを動かした方だけに負担が集中しやすいためです。
先に役割を決めておくと、後々の不満やもめごとを避けやすくなります。
そして3つ目。
実家の名義や今後の使い道が決まらないまま時間が過ぎると、選べる手段は確実に減っていきます。
プロ20年 切り出しにくい話ですが
元気なうちのほうが
穏やかに決められますよ
もし今、動くべきか迷っているなら、順番はひとつです。
気持ちを固めるより先に、あなたの家の今の値段を知る。
売ると決めていなくてもかまいません。
数字が入った瞬間に、家族の話し合いは驚くほど前へ進みます。

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長い記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
実家との距離に悩む時間は、家族を大切に思っている時間でもあります。
その気持ちを行動へ変えるきっかけに、この記事が少しでもなれたなら幸いです。
以上『【体験談】実家の近くに住めばよかった…榊原さんが9年後に住み替えた話』でした。
- 西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)

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不動産×住宅業界20年以上。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。運営メディアは累計120万PV超 ≫運営者情報
【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表
【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級FP技能士
マイホームや新築の購入後に後悔を感じ、「家を売りたい…」と思われている方も少なくありません。売却を検討する理由や流れ、実際に家を売った方々のリアルな体験談を幅広く知りたい場合は、下記の記事がきっと参考になります。
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